学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0914

理由で解く 解剖学

Q0914 運動器系

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題32
問題
手根管を通らない筋はどれか。
選択肢
1 長掌筋
2 浅指屈筋
3 長母指屈筋
4 橈側手根屈筋
解答
正解1(長掌筋)
解説
✓ 1. 正しい
長掌筋
長掌筋の腱は屈筋支帯の「浅層」を通って手掌に入り、そこで扇状に広がり手掌腱膜をつくる。すなわち手根管の内部ではなく、屈筋支帯の上(皮下側)を走行する。したがって長掌筋は手根管を通らない筋であり、本問の正答となる。なお、手根管を通るのは浅指屈筋・深指屈筋・長母指屈筋の3筋と正中神経である。
✗ 2. 誤り
浅指屈筋
浅指屈筋は内側上顆と橈骨前面から起こり、手根部で4本の腱となって手根管を通り、第2〜5指の中節骨底に停止する。手根管内では深指屈筋腱とともに共通の滑液包に包まれる。
✗ 3. 誤り
長母指屈筋
長母指屈筋は橈骨前面と前腕骨間膜から起こり、その腱は手根管を通って母指末節骨底に停止する。手根管を通る「屈筋腱5本」のうちの1本で、母指のMP・IP関節を屈曲させる。
✗ 4. 誤り
橈側手根屈筋
橈側手根屈筋は内側上顆から起こり第2・3中手骨底に停止する。その停止腱は屈筋支帯の深層にある独立した溝(橈側手根屈筋腱鞘)を通って手掌に入る。国試レベルでは手根管を通る筋として扱われることが多く、本問の選択肢では「手根管を通る」側に分類されている。
ポイント
  • 手根管を通るのは「浅指屈筋・深指屈筋・長母指屈筋+正中神経」。長掌筋は屈筋支帯の浅層(皮下側)を通り手掌腱膜となるため手根管は通らない。
  • 覚え方のコツ: 「手根管の中身=指を曲げる腱5本(浅4・深4・長母指1? 実際は9本)+正中神経」。長掌筋は「手掌の表面を広く覆う皮下の筋膜」に続くため手根管の外を通る、と屈筋支帯との位置関係で覚える。
  • 関連知識: 手根管の天井は屈筋支帯、底は手根骨のくぼみ(手根溝)。屈筋支帯の浅層には長掌筋腱と尺骨神経管(ギヨン管:尺骨神経・尺骨動脈)がある。
  • よくある間違い: 長掌筋腱が手首の中央に目立つため手根管を通ると誤る/橈側手根屈筋と長掌筋を混同する/正中神経が通ることを忘れる。
  • 臨床応用: 手根管症候群は手根管内の正中神経圧迫により母指〜薬指橈側半の感覚障害と母指球筋萎縮を生じる。長掌筋腱は手根管外のため圧迫されず、自家腱移植のドナー筋として用いられる。
比較表
通過部位 通過する構造
手根管内 浅指屈筋腱(4本)、深指屈筋腱(4本)、長母指屈筋腱、正中神経
屈筋支帯の浅層 長掌筋腱、尺骨神経管(ギヨン管:尺骨神経・尺骨動脈)
屈筋支帯深層の独立溝 橈側手根屈筋腱
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題32|手根管を通らない筋はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題32|手根管を通らない筋はどれか。
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