学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ O. 下肢の局所解剖・脈管・神経 / Q1045

理由で解く 解剖学

Q1045 運動器系

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題33
問題
大腿動脈について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 外腸骨動脈の続きである。
2 鼠径靭帯の下をくぐり、大腿の前面に出る。
3 坐骨神経に伴い大腿後面を下行する。
4 内転筋裂孔を出て膝窩動脈に続く。
解答
正解3(坐骨神経に伴い大腿後面を下行する。)
解説
✗ 1.
外腸骨動脈の続きである。
✗ 正しい。 外腸骨動脈は鼠径靭帯の下(血管裂孔)を通って大腿動脈となる。内腸骨動脈が骨盤内・殿部へ枝を出すのに対し、外腸骨動脈はそのまま下肢に連続する本幹である。
✗ 2.
鼠径靭帯の下をくぐり、大腿の前面に出る。
✗ 正しい。 大腿動脈は鼠径靭帯の中央下の血管裂孔をくぐって大腿三角に出現し、鼠径靭帯中央部で体表から強く拍動を触知できる。大腿三角では内側から大腿静脈・大腿動脈・大腿神経の順に並ぶ(NAVAではなくMAVNの順)。
✓ 3. 誤り
坐骨神経に伴い大腿後面を下行する。
大腿動脈は大腿の「前内側面」を下行する血管で、大腿前面の大腿三角から縫工筋と内側広筋の間の内転筋管を通り、内転筋腱裂孔を経て膝窩に至る。坐骨神経と伴走するのは大腿深動脈の枝や貫通動脈(大腿後面を栄養)であり、大腿動脈本幹は前面~内側を走行する。坐骨神経は梨状筋下孔から大腿後面を下行してハムストリングスの深層を通り、膝窩の上方で総腓骨神経と脛骨神経に分岐するが、ここと大腿動脈は走行平面が異なる。したがって「坐骨神経に伴行する」のは誤った記述である。
✗ 4.
内転筋裂孔を出て膝窩動脈に続く。
✗ 正しい。 大腿動脈は内転筋管を下行し、大内転筋の停止部にできる内転筋腱裂孔を通って膝窩に出ると膝窩動脈に移行する。膝窩動脈はヒラメ筋腱弓をくぐり、膝窩筋の下縁で前・後脛骨動脈に分かれる。
ポイント
  • 大腿動脈は外腸骨動脈の続きで、血管裂孔→大腿三角→内転筋管→内転筋腱裂孔→膝窩動脈へと走行する大腿前内側面の本幹。
  • 覚え方のコツ: 「大腿動脈は前、坐骨神経は後」と対比。伴走神経は大腿三角では大腿神経、内転筋管では伏在神経。
  • 関連知識: 大腿三角の内容は内→外にMAVN(筋裂孔にて腸骨筋/大腿静脈/大腿動脈/大腿神経)と覚えるが、大腿神経は筋裂孔、他3つは血管裂孔を通る。
  • よくある間違い: 坐骨神経と大腿動脈が伴走すると誤認/膝窩動脈への移行部位を「内転筋管の入口」とする(正しくは出口の内転筋腱裂孔)。
  • 臨床応用: 大腿三角中央で大腿動脈を圧迫止血できる(動脈性下肢出血)。カテーテル検査や心臓カテーテルのアクセス血管。
比較表
走行位置 通過部 伴走構造
大腿基部 血管裂孔(鼠径靭帯下) 大腿静脈・リンパ節
大腿三角 スカルパ三角内 大腿静脈(内側)・大腿神経(外側)
大腿中央 内転筋管(Hunter管) 伏在神経・大腿静脈
膝窩移行部 内転筋腱裂孔 膝窩動脈に移行
膝窩 膝窩動脈 脛骨神経
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題33|大腿動脈について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題33|大腿動脈について誤っている記述はどれか。
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