学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0903

理由で解く 解剖学

Q0903 運動器系

出典:鍼灸 第8回(2000) 問題19
問題
横隔膜について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 停止部は腱中心である。
2 上面には肝臓が接する。
3 大動脈裂孔には胸管が通る。
4 頸神経叢の枝で支配される。
解答
正解2(上面には肝臓が接する。)
解説
✗ 1.
停止部は腱中心である。
✗ 正しい。 この記述は正しい。横隔膜は胸骨部(剣状突起後面)・肋骨部(第7〜12肋軟骨内面)・腰椎部(L1〜L4椎体前面、内側脚・外側脚・正中脚)の3部分から起こり、中央の腱中心(腱膜板)に停止する。収縮時には腱中心が下降して胸腔容積が増える。
✓ 2. 誤り
上面には肝臓が接する。
本肢が「誤っている記述」で設問の正解となる。肝臓は横隔膜の下面(腹腔側)に接する。横隔膜の上面(胸腔側)に接するのは心臓(心嚢越し)と左右の肺(胸膜越し)である。横隔膜下面の右側に肝臓の広い裸面が接し、左側には胃・脾臓が位置する。上下の位置関係を逆にしないよう注意。
✗ 3.
大動脈裂孔には胸管が通る。
✗ 正しい。 この記述は正しい。大動脈裂孔(T12レベル、正中脚・外側脚の後方)には下行大動脈・胸管・奇静脈が通る。胸管は大動脈裂孔を通って胸腔に入り脊柱前面を上行する。食道裂孔(T10)には食道・迷走神経、大静脈孔(T8)には下大静脈が通る。
✗ 4.
頸神経叢の枝で支配される。
✗ 正しい。 この記述は正しい。横隔膜は頸神経叢から起こる横隔神経(C3〜C5、特にC4中心)に支配される。これは発生学的に横隔膜が頸部で発生し下降してきたためで、神経支配を通じて元の発生部位が示される(神経支配は移動しても変わらない)。
ポイント
  • 横隔膜の上面(胸腔側)は心臓・肺と接する。下面(腹腔側)は肝臓・胃・脾臓と接する。停止は腱中心、支配神経は横隔神経(C3〜5)。
  • 覚え方のコツ: 「胸の下=腹の上が横隔膜。上面=心肺、下面=肝胃脾」と位置関係を3次元で把握。
  • 関連知識: 横隔膜の3大貫通部「大静脈孔T8・食道裂孔T10・大動脈裂孔T12」。数字は上から8-10-12と覚える。
  • よくある間違い: 肝臓が上面にあると誤る(実際は下面)/横隔神経の起始をT3〜5と誤る(C3〜5が正解)。
  • 臨床応用: 横隔神経麻痺(C3〜5障害、頸髄損傷など)では横隔膜麻痺・呼吸障害をきたす。横隔膜ヘルニアでは腹部臓器が胸腔に脱出する。
比較表
貫通部 高さ 通過する構造
大静脈孔 T8 下大静脈・右横隔神経
食道裂孔 T10 食道・左右迷走神経
大動脈裂孔 T12 下行大動脈・胸管・奇静脈
解説画像
鍼灸 第8回(2000) 問題19|横隔膜について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第8回(2000) 問題19|横隔膜について誤っている記述はどれか。
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