学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0892

理由で解く 解剖学

Q0892 運動器系

出典:鍼灸 第22回(2014) 問題18
問題
腹部の筋について正しいのはどれか。
選択肢
1 浅鼠径輪は鼠径靭帯の下に開く。
2 白線は腹直筋鞘が正中で合してつくられる。
3 精巣挙筋は外腹斜筋の最下端部の筋束よりなる。
4 鼠径靭帯は内腹斜筋の停止腱膜の肥厚したものである。
解答
正解2(白線は腹直筋鞘が正中で合してつくられる。)
解説
✗ 1. 誤り
浅鼠径輪は鼠径靭帯の下に開く。
浅鼠径輪は鼠径管の体表側開口部で、「恥骨結合のすぐ上方」の外腹斜筋腱膜に開く。鼠径靭帯は腸骨前上棘から恥骨結節に張る靭帯(外腹斜筋停止腱膜の下縁)で、浅鼠径輪はこの靭帯の上方にあり、靭帯の下に開くわけではない。
✓ 2. 正しい
白線は腹直筋鞘が正中で合してつくられる。
白線は剣状突起から恥骨結合まで続く正中の強靱な線維性帯で、左右の腹直筋鞘の線維が正中線上で互いに交錯癒合して形成される。腹直筋鞘自体は外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の停止腱膜が腹直筋を挟むように合してつくられるため、白線は結局これら3側腹筋の腱膜由来である。血管や神経に乏しく、腹部正中切開の部位として臨床的にも重要で、臍のところに臍輪、その下方3cm付近に弓状線が存在する。
✗ 3. 誤り
精巣挙筋は外腹斜筋の最下端部の筋束よりなる。
精巣挙筋は「内腹斜筋」の最下端部の筋束が精索を包み込むように下降して形成される。支配神経も陰部大腿神経(腰神経叢由来)で、他の内腹斜筋の肋間神経・腸骨下腹神経支配とは異なる。外腹斜筋由来ではない。
✗ 4. 誤り
鼠径靭帯は内腹斜筋の停止腱膜の肥厚したものである。
鼠径靭帯は「外腹斜筋」の停止腱膜の下縁が肥厚して靭帯となり、上前腸骨棘と恥骨結節との間に張ったものである。内腹斜筋ではない。鼠径管の底面を構成し、鼠径ヘルニアの解剖学的指標として重要。
ポイント
  • 白線は左右の腹直筋鞘が正中で交錯癒合した線維性帯。剣状突起〜恥骨結合まで続き、側腹筋3筋(外・内腹斜筋、腹横筋)の腱膜由来。
  • 覚え方のコツ: 「鼠径靭帯=外腹斜筋」「精巣挙筋=内腹斜筋」「腹横筋はほぼ水平に横走」とペアで記憶。浅鼠径輪は恥骨結節上方で靭帯の上方に開く。
  • 関連知識: 腹直筋鞘は弓状線を境に構造が変わる。弓状線より上:前葉=外腹斜筋腱膜+内腹斜筋腱膜前葉/後葉=内腹斜筋腱膜後葉+腹横筋腱膜。弓状線より下:3筋の腱膜すべて前葉に参加し後葉は消失。
  • よくある間違い: 精巣挙筋を外腹斜筋由来と誤る/鼠径靭帯を内腹斜筋の肥厚部と誤る/浅鼠径輪と深鼠径輪の位置を混同する。
  • 臨床応用: 臍ヘルニア(臍輪の閉鎖不全)、鼠径ヘルニア(特に男児で鼠径管が短く浅鼠径輪と深鼠径輪がほぼ一致するため頻発)、白線ヘルニアなど。腹部正中切開は白線を貫く術式。
比較表
側腹筋 起始 停止・機能
外腹斜筋 第5〜12肋骨外面 腱膜は腹直筋鞘前葉へ、下縁が鼠径靭帯
内腹斜筋 胸腰筋膜・腸骨稜・鼠径靭帯 最下端筋束は精巣挙筋となる
腹横筋 下位肋軟骨内面・胸腰筋膜・腸骨稜 ほぼ水平に横走、腹圧を高める
解説画像
鍼灸 第22回(2014) 問題18|腹部の筋について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第22回(2014) 問題18|腹部の筋について正しいのはどれか。
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