学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0879

理由で解く 解剖学

Q0879 運動器系

出典:鍼灸 第10回(2002) 問題20
問題
正中仙骨稜から起始する筋はどれか。
選択肢
1 僧帽筋
2 広背筋
3 腰方形筋
4 大腰筋
解答
正解2(広背筋)
解説
✗ 1. 誤り
僧帽筋
僧帽筋は外後頭隆起・項靱帯・全胸椎および第7頸椎の棘突起から起こり、肩甲棘・肩峰・鎖骨外側1/3に停止する。起始は頸椎・胸椎の棘突起レベルで、仙骨には達しない。
✓ 2. 正しい
広背筋
広背筋は第7胸椎以下の胸椎・腰椎・仙骨の棘突起(胸腰筋膜を介して正中仙骨稜も含む)、腸骨稜、下位(第9〜12)肋骨、肩甲骨下角から起こる広範な起始をもつ三角形の扁平筋で、上腕骨小結節稜に停止する。仙骨の正中仙骨稜は胸腰筋膜の起始部としての意味も含め、広背筋起始範囲に含まれる。支配神経は胸背神経(C6〜8)で、肩関節の内転・内旋・伸展(後方への引き下げ)を行い、クロール動作や鉄棒懸垂などで重要な作用を示す。下方で腸骨稜・外腹斜筋との間に腰三角を形成する。
✗ 3. 誤り
腰方形筋
腰方形筋は腸骨稜から起こり第12肋骨および腰椎横突起に停止する後腹筋で、起始部は腸骨稜であり仙骨には及ばない。腰神経叢支配で腰椎の側屈を行う。
✗ 4. 誤り
大腰筋
大腰筋は第12胸椎および全腰椎の椎体側面と横突起から起こり、大腿骨小転子に停止する下肢帯筋で、仙骨からの起始はない。腰神経叢支配で股関節の屈曲・外旋を行う。
ポイント
  • 広背筋は下位胸椎〜腰椎棘突起・正中仙骨稜(胸腰筋膜を介し)・腸骨稜・下位肋骨・肩甲骨下角と広範な起始をもつ。
  • 覚え方のコツ: 広背筋の起始は「腰背部の広い範囲」=胸椎下部・腰椎・仙骨・腸骨・下位肋骨。停止は上腕骨小結節稜。
  • 関連知識: 正中仙骨稜は仙骨後面正中の隆起で、融合した仙椎棘突起の名残。広背筋・胸腰筋膜・脊柱起立筋の起始に関与する骨性指標。
  • よくある間違い: 仙骨起始の筋として梨状筋(仙骨前面)と混同/僧帽筋が仙骨まで達すると誤解。
  • 臨床応用: 広背筋の筋力低下は肩関節内転・伸展障害を起こし、車椅子移乗動作で困難をきたす。また広背筋皮弁は形成外科で乳房再建や体壁欠損再建に用いられる。鍼灸では背兪穴の刺入深度に関わる。
比較表
筋名 起始(仙骨関連) 停止 支配神経
広背筋 下位胸椎・腰椎・仙骨棘突起、腸骨稜 上腕骨小結節稜 胸背神経
僧帽筋 外後頭隆起〜全胸椎棘突起(仙骨に及ばず) 肩甲棘・肩峰・鎖骨外側 副神経
腰方形筋 腸骨稜(仙骨に及ばず) 第12肋骨・腰椎横突起 腰神経叢
大腰筋 第12胸椎・腰椎椎体(仙骨に及ばず) 大腿骨小転子 腰神経叢
解説画像
鍼灸 第10回(2002) 問題20|正中仙骨稜から起始する筋はどれか。 解説図
鍼灸 第10回(2002) 問題20|正中仙骨稜から起始する筋はどれか。
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