
この図の解説
図の右半身は最長筋を切断して背部の深層筋を露出させたもので、頸半棘筋・頭板状筋・頭半棘筋・頸多裂筋・棘筋、そして脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)が並ぶ。これら体幹背側の固有背筋と背中の皮膚を分節的に支配するのが、青枠で示された「脊髄神経後枝」である。後枝は椎間孔を出た脊髄神経が前枝と分かれた背側の枝で、前枝に比べ著しく細い。特徴的な後枝を確認したい。C1後枝は運動のみの後頭下神経となり後頭下筋群(上・下頭斜筋、大後頭直筋など)を支配する。C2後枝は後頭部にひきずられて発達し大後頭神経となって後頭部の皮膚知覚を担い、C3後枝は第3後頭神経としてうなじの皮膚知覚を担う。胸部では図中の注記のとおり、第1〜8胸神経の後枝は内側枝が強く、第9〜12胸神経の後枝は外側枝が強い、と高さによって優勢な枝が入れ替わる。腰部ではL1〜3後枝の皮枝が殿部の発達にひきずられ、長く伸びて上殿皮神経となる。一方ピンク枠の小後頭神経・大耳介神経は頸神経叢由来の「前枝」であり、後頭部付近の皮膚に来るが背部の図に載っていても後枝ではない点に注意する。
学習の要点
- 背部深層の固有背筋(脊柱起立筋・半棘筋・多裂筋・後頭下筋群など)と背中の皮膚は、すべて脊髄神経後枝が分節的に支配する。
- 覚え方のコツ: 「背中(後ろ)は後枝」。C1後枝=後頭下神経は運動のみ、C2後枝=大後頭神経は知覚が発達、と番号順に並べて記憶する。
- 関連知識: 固有背筋は脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)と横突棘筋群(半棘筋・多裂筋・回旋筋)からなり、後頭下筋群も含まれる。前枝は体幹腹側の体壁や上下肢の筋・皮膚に分布する。
- 関連知識: 胸神経後枝は内側枝と外側枝に分かれ、図の注記では第1〜8胸神経で内側枝が、第9〜12胸神経で外側枝が優勢と示される。いずれも分節性を保って背部の筋・皮膚に分布する。
- よくある間違い: 小後頭神経・大耳介神経は後頭部付近に来るが頸神経叢の皮枝(前枝)であり、後枝ではない。前枝はピンク枠、後枝は青枠で区別されている。
- 臨床応用: 大後頭神経(C2後枝)の絞扼・刺激は後頭部から頭頂部にかけての大後頭神経痛(後頭神経痛)を起こす。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
第1頸神経(C1)の後枝は( )となり、後頭下筋群を運動性に支配する。
答えを見る
答え: 後頭下神経
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。