学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0868

理由で解く 解剖学

Q0868 運動器系

出典:あマ指 第8回(2000) 問題22
問題
僧帽筋の上肢帯に対する作用でないのはどれか。
選択肢
1 内方へ引く。
2 外方へ引く。
3 引き上げる。
4 引き下げる。
解答
正解2(外方へ引く。)
解説
✗ 1.
内方へ引く。
✗ 正しい。 僧帽筋中部線維(C7〜T3から肩甲棘に停止)が収縮すると肩甲骨を脊柱側=内方に引き寄せる(肩甲骨内転)。つまり内方への牽引は僧帽筋の作用そのものであり、設問が問う「作用でない」ものには該当しない。
✓ 2. 誤り
外方へ引く。
肩甲骨を外方(脊柱から離す方向)に引き出す作用は前鋸筋と小胸筋の働きで、僧帽筋にはない作用である。したがって本問では「作用でない」に該当し正解となる。前鋸筋はボクサーのパンチ動作で強く働くため別名ボクサー筋とも呼ばれ、長胸神経麻痺で機能不全になると肩甲骨内側縁が浮き上がる翼状肩甲を呈する。僧帽筋と前鋸筋は肩甲骨の内外転で拮抗関係にあり、中部線維内転と前鋸筋外転の対立構図を押さえる。
✗ 3.
引き上げる。
✗ 正しい。 僧帽筋上部線維(後頭骨・項靭帯から鎖骨外側1/3と肩峰に停止)の収縮は肩甲骨を引き上げる(挙上)。いかり肩をつくる動きで、肩甲挙筋と協同する。挙上作用は僧帽筋に含まれる。
✗ 4.
引き下げる。
✗ 正しい。 僧帽筋下部線維(下位胸椎から肩甲棘内側)は収縮により肩甲骨を引き下げる(下制)。上部(挙上)と下部(下制)で拮抗し、用途により使い分けられる。下制作用も僧帽筋に含まれる。
ポイント
  • 僧帽筋は上部(挙上)・中部(内転)・下部(下制)の三段構造で肩甲骨を動かすが、「外方へ引く」作用だけは持たない(これは前鋸筋の役割)。
  • 覚え方のコツ: 「上挙・中引・下下げ」と3部位でまとめて暗記。外方は前鋸筋=ボクサー筋、内方は僧帽筋=肩甲骨を脊柱に集める筋、とペアで対比。
  • 関連知識: 支配神経は副神経(運動)+頸神経叢C2-C4(知覚・固有感覚)。前鋸筋は長胸神経(C5-C7)支配で肩甲骨外方牽引+上方回旋を担う。
  • よくある間違い: 「外方へ引く」を僧帽筋作用と誤認/上部のみの挙上作用だけ覚えて中・下部を見落とす/前鋸筋との拮抗関係を混同する。
  • 臨床応用: 副神経麻痺では僧帽筋が萎縮して肩が下垂し、挙上障害・肩こりを生じる。頸部リンパ節郭清術の合併症として知られる。
比較表
部位 線維走行 肩甲骨への作用
僧帽筋 上部 後頭骨→鎖骨外側1/3・肩峰 挙上、上方回旋
僧帽筋 中部 上位胸椎→肩甲棘 内転(内方へ)
僧帽筋 下部 下位胸椎→肩甲棘内側 下制、上方回旋
前鋸筋(拮抗筋) 肋骨→肩甲骨内側縁 外転(外方へ)
解説画像
あマ指 第8回(2000) 問題22|僧帽筋の上肢帯に対する作用でないのはどれか。 解説図
あマ指 第8回(2000) 問題22|僧帽筋の上肢帯に対する作用でないのはどれか。
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