学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0867

理由で解く 解剖学

Q0867 運動器系

出典:あマ指 第2回(1994) 問題19
問題
横隔膜について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 停止は腱中心である。
2 胸管は大静脈孔を通る。
3 迷走神経は食道裂孔を通る。
4 吸気筋として働く。
解答
正解2(胸管は大静脈孔を通る。)
解説
✗ 1.
停止は腱中心である。
✗ 正しい。 横隔膜は胸郭の下縁(剣状突起・第7〜12肋軟骨・第1〜3腰椎)から起こり、中央部の腱中心(薄い腱性の部分)に停止する。収縮により腱中心が下方に引き下げられ胸腔が拡大する。記述は正しく、設問の誤答には該当しない。
✓ 2. 誤り
胸管は大静脈孔を通る。
横隔膜の3大開口部は、大静脈孔(第8〜9胸椎高・腱中心内、下大静脈と右横隔神経が通る)、食道裂孔(第10胸椎高・筋性部、食道と左右迷走神経が通る)、大動脈裂孔(第12胸椎高・腰椎前面、大動脈・胸管・奇静脈が通る)の3つである。胸管は大動脈裂孔を通るのが正しく、「胸管は大静脈孔を通る」は事実として誤り。したがって設問の「誤った記述はどれか」に対する正解である。通過する構造を「大静脈孔=IVC+右横隔神経、食道裂孔=食道+迷走神経、大動脈裂孔=大動脈+胸管+奇静脈」と位置・椎体番号とセットで整理するのが定石である。
✗ 3.
迷走神経は食道裂孔を通る。
✗ 正しい。 迷走神経(Ⅹ)は左右とも食道に並走して胸腔を下降し、食道神経叢を形成したのち、左迷走神経の前幹・右迷走神経の後幹として食道裂孔を食道とともに通過して腹腔に入る。したがって「迷走神経は食道裂孔を通る」は正しく、設問の誤答には該当しない。
✗ 4.
吸気筋として働く。
✗ 正しい。 横隔膜は最大の呼吸筋であり、収縮で腱中心が下方に引き下げられて胸腔が拡張し、大気圧差により空気が肺に流入する吸気筋として働く。呼気は安静時には横隔膜の弛緩と胸郭の弾性収縮で受動的に行われる。記述は正しく、設問の誤答には該当しない。
ポイント
  • 胸管は大動脈裂孔を通る(大静脈孔ではない)。横隔膜の3孔は通過する構造と椎体レベルで整理する。
  • 覚え方のコツ: 「大静脈孔=Th8〜9(IVC+右横隔神経)/食道裂孔=Th10(食道+迷走神経)/大動脈裂孔=Th12(大動脈+胸管+奇静脈)」の語呂で3孔を記憶。
  • 関連知識: 横隔膜の運動神経支配は横隔神経(C3〜C5)。横隔膜の起始は剣状突起・第7〜12肋軟骨・第1〜3腰椎。停止は腱中心。
  • よくある間違い: 胸管を大静脈孔通過と誤認/食道裂孔の椎体レベルをTh12と誤認/迷走神経が大動脈裂孔を通ると誤解。
  • 臨床応用: 食道裂孔ヘルニアは食道裂孔から胃が胸腔側に逸脱する病態で、逆流性食道炎の原因となる。横隔神経麻痺では片側横隔膜挙上が生じる。
比較表
開口部 椎体レベル 通過する主な構造
大静脈孔 第8〜9胸椎 下大静脈、右横隔神経
食道裂孔 第10胸椎 食道、左右の迷走神経(前幹・後幹)
大動脈裂孔 第12胸椎 大動脈、胸管、奇静脈
解説画像
あマ指 第2回(1994) 問題19|横隔膜について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第2回(1994) 問題19|横隔膜について誤っている記述はどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手