学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0866

理由で解く 解剖学

Q0866 運動器系

出典:鍼灸 第25回(2017) 問題19
問題
深背筋について正しいのはどれか。
選択肢
1 頭半棘筋は乳様突起に停止する。
2 腸肋筋は体幹の回旋を行う。
3 上後鋸筋は肋骨を引き下げる。
4 板状筋は腰神経に支配される。
解答
正解2(腸肋筋は体幹の回旋を行う。)
解説
✗ 1. 誤り
頭半棘筋は乳様突起に停止する。
頭半棘筋は胸椎・頸椎横突起から起こり後頭骨(上項線〜下項線の間)に停止する。乳様突起に停止するのは胸鎖乳突筋・頭最長筋・頭板状筋など別の筋である。
✓ 2. 正しい
腸肋筋は体幹の回旋を行う。
腸肋筋は脊柱起立筋(最外側列)の1つで、肋骨と腸骨稜に広く付着する細長い筋。両側が収縮すれば体幹を伸展し、片側のみ働けば同側への側屈とともに体幹の回旋にも関与する。脊柱起立筋は外側から順に「腸肋筋・最長筋・棘筋」と並び、いずれも体幹の伸展・側屈・回旋を担う深背筋の中核である。
✗ 3. 誤り
上後鋸筋は肋骨を引き下げる。
上後鋸筋は項靱帯下部〜胸椎上部棘突起から起こり、第2〜5肋骨に停止して肋骨を引き上げる吸息補助筋として働く。引き下げるのではない。肋骨を引き下げるのは下後鋸筋(呼息補助)である。
✗ 4. 誤り
板状筋は腰神経に支配される。
板状筋(頭板状筋・頸板状筋)は頸椎後面に位置する深背筋で、頸神経後枝に支配される。腰神経支配ではない。主に頭部・頸部の伸展・回旋・側屈を担う。
ポイント
  • 脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)は両側で脊柱伸展、片側で側屈・回旋を行う深背筋。
  • 覚え方のコツ: 外側から「腸肋・最長・棘」と並ぶ。「上後鋸筋=吸息(引き上げ)」「下後鋸筋=呼息(引き下げ)」と対で覚える。
  • 関連知識: 深背筋は発生的に脊髄神経後枝支配。対して僧帽筋(副神経)・広背筋(胸背神経)は浅背筋で前枝由来の神経支配。板状筋も深背筋で頸神経後枝支配。
  • よくある間違い: 「上後鋸筋=呼息」「板状筋=腰神経」は典型的な誤答。上(上肋を引き上げる)=吸息と連想する。
  • 臨床応用: 脊柱起立筋群の慢性過緊張は腰痛や頸肩こりの中心的原因となり、鍼灸・マッサージの主要なターゲット筋群である。
比較表
起始・停止の要点 作用
脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋) 外側→内側の3列 脊柱伸展(両側)・側屈/回旋(片側)
頭半棘筋 横突起→後頭骨 頭部伸展・回旋
板状筋 項靱帯・棘突起→乳様突起・上項線(頭板状筋) 頭頸部伸展・回旋
上後鋸筋 項靱帯下部→第2–5肋骨 吸息補助(肋骨挙上)
下後鋸筋 下部胸椎・腰椎→第9–12肋骨 呼息補助(肋骨下制)
解説画像
鍼灸 第25回(2017) 問題19|深背筋について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第25回(2017) 問題19|深背筋について正しいのはどれか。
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