学習トップ理由で解く 解剖学第9章 ▸ B. 平衡聴覚器 / Q0724

理由で解く 解剖学

Q0724 感覚器系

出典:あマ指 第9回(2001) 問題34
問題
中耳について正しい記述はどれか。
選択肢
1 三半規管が存在する。
2 咽頭に直接通じる。
3 膜迷路が存在する。
4 内腔がリンパ液で満たされる。
解答
正解2(咽頭に直接通じる。)
解説
✗ 1. 誤り
三半規管が存在する。
三半規管は内耳の骨迷路の一部で、中耳ではなく内耳に存在する。3本の半規管の膨大部稜が頭部の回転加速度を感受する平衡覚器である。
✓ 2. 正しい
咽頭に直接通じる。
中耳の鼓室は耳管(長さ約35mm)を介して咽頭鼻部の耳管咽頭口に直接開口する。耳管は普段は圧平されているが、嚥下や欠伸の際に一時的に開いて鼓室内圧と外気圧を等圧化し、鼓膜の振動を最適に保つ。耳管が閉塞すると鼓室内空気が吸収されて陰圧化し、鼓膜が内方へ陥没して伝音性難聴・耳閉感を生じる。逆に耳管開放症では自分の声が直接鼓室に響く自声強聴をきたす。中耳と咽頭が直接交通する解剖学的事実は、上気道炎が中耳炎へ波及する病態(とくに小児で耳管が水平・短く太いため)の基礎となる重要な知識であり、本選択肢が正解。
✗ 3. 誤り
膜迷路が存在する。
膜迷路は内耳の骨迷路内に収まる構造で、卵形嚢・球形嚢・膜半規管・蝸牛管からなる。中耳ではなく内耳の構成要素であり、内リンパで満たされる。
✗ 4. 誤り
内腔がリンパ液で満たされる。
中耳の鼓室内は粘膜に覆われた空気腔で、リンパ液は満たさない。リンパ液(外リンパ・内リンパ)で満たされるのは内耳の骨迷路と膜迷路である。中耳に液体が貯留すると伝音難聴を生じる。
ポイント
  • 中耳(鼓室)は耳管を介して咽頭鼻部と直接交通し、嚥下時に開放されて鼓室内圧を外気と等圧に保つ。
  • 覚え方のコツ: 「中耳→耳管→咽頭鼻部」と一直線で覚える。耳管が開くタイミングは「飲み込む・あくび」。気圧変化で耳が痛くなったときに唾を飲むと治るのはこの仕組み。
  • 関連知識: 小児の耳管は水平で短く太いため、咽頭の細菌が鼓室に侵入しやすく中耳炎が頻発する。成人になると約45度傾斜し細菌の逆流が抑制される。
  • よくある間違い: 「中耳と内耳が直接通じる」と勘違いしがち。中耳と内耳は前庭窓・蝸牛窓の膜で隔てられ直接の交通はない。咽頭と直接通じるのは中耳のほうである。
  • 臨床応用: 航空性中耳炎(航空機降下時)・潜水時の耳痛は耳管機能不全による鼓室陰圧化が原因。バルサルバ法(鼻をつまんで息む)で耳管を強制開通させ圧調整する。
比較表
中耳の構成 役割
鼓室 耳小骨を収める空気腔
耳小骨3個(ツチ・キヌタ・アブミ) 鼓膜振動の機械的増幅
耳管 咽頭鼻部と交通し気圧調整
解説画像
あマ指 第9回(2001) 問題34|中耳について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第9回(2001) 問題34|中耳について正しい記述はどれか。
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