学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0633

理由で解く 解剖学

Q0633 神経系

出典:あマ指 第9回(2001) 問題33
問題
梨状筋上孔を通るのはどれか。
選択肢
1 下殿神経
2 陰部神経
3 上殿神経
4 坐骨神経
解答
正解3(上殿神経)
解説
✗ 1. 誤り
下殿神経
下殿神経(L5-S2)は仙骨神経叢から起こり、梨状筋「下孔」を坐骨神経・後大腿皮神経・陰部神経などとともに通過して大殿筋を支配する。梨状筋の上ではなく下を通るため誤り。大殿筋麻痺で立ち上がり困難となる。
✗ 2. 誤り
陰部神経
陰部神経(S2-S4)は仙骨神経叢の最下位から起こり、梨状筋「下孔」を通って一旦殿部に出た後、小坐骨孔を通って骨盤内(陰部神経管)に再進入する独特の経路をたどる。梨状筋上孔は通らず、骨盤底筋・会陰部皮膚を支配する。
✓ 3. 正しい
上殿神経
上殿神経(L4-S1)は仙骨神経叢から起こり、梨状筋上孔を上殿動静脈とともに通過して殿部に出る。中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋を支配し、これらは股関節外転の主動作筋。麻痺するとトレンデレンブルグ徴候(片脚立位での骨盤反対側落下)が陽性となる。梨状筋上孔を通る神経はこれのみ。
✗ 4. 誤り
坐骨神経
坐骨神経(L4-S3)は仙骨神経叢から起こる人体最大の末梢神経で、梨状筋「下孔」を下殿神経・後大腿皮神経・陰部神経などとともに通過する。梨状筋の上ではなく下を通るため誤り。膝窩で総腓骨神経と脛骨神経に分岐する。
ポイント
  • 梨状筋上孔を通るのは上殿神経・上殿動静脈の3者のみ。一方、梨状筋下孔は坐骨神経・下殿神経・後大腿皮神経・陰部神経・下殿動静脈・内陰部動静脈と通過構造物が多彩。
  • 覚え方のコツ: 「上殿神経だけが上、他は全部下」と単純化。上殿神経・上殿動静脈の3つだけが「上」、それ以外は梨状筋下孔(下)と暗記。
  • 関連知識: 梨状筋は坐骨神経通過の指標筋。約15%の人では坐骨神経の一部または全部が梨状筋を貫通する解剖変異があり、これが梨状筋症候群の解剖学的素地となる。
  • よくある間違い: 「坐骨神経=梨状筋上孔」と誤答しがち。坐骨神経は人体最大神経だが、梨状筋の下を通る(下孔)。「下孔がメイン、上孔は脇役」と覚える。
  • 臨床応用: 上殿神経麻痺(殿部外傷・股関節手術合併症)では中殿筋麻痺によりトレンデレンブルグ歩行(片脚立位で骨盤が患側と反対に下垂)が出現する。下殿神経麻痺では大殿筋萎縮と立ち上がり困難。
比較表
通過する神経 通過する血管
梨状筋上孔 上殿神経 上殿動静脈
梨状筋下孔 坐骨神経・下殿神経・後大腿皮神経・陰部神経 下殿動静脈・内陰部動静脈
小坐骨孔 陰部神経(再進入)・内閉鎖筋腱 内陰部動静脈(再進入)
解説画像
あマ指 第9回(2001) 問題33|梨状筋上孔を通るのはどれか。 解説図
あマ指 第9回(2001) 問題33|梨状筋上孔を通るのはどれか。
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