学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0634

理由で解く 解剖学

Q0634 神経系

出典:鍼灸 第9回(2001) 問題18
問題
尺骨神経に支配されている筋はどれか。
選択肢
1 母指内転筋
2 母指対立筋
3 示指伸筋
4 短母指伸筋
解答
正解1(母指内転筋)
解説
✓ 1. 正しい
母指内転筋
母指内転筋は母指球の最深層に位置する筋で、第3中手骨と有頭骨から起こり母指基節骨に停止し、母指の内転を担う。手内筋の大部分は尺骨神経支配で、母指球筋の中で唯一母指内転筋だけが尺骨神経(深枝)支配となる例外。Froment徴候(紙挟みテスト)で機能が評価される。
✗ 2. 誤り
母指対立筋
母指対立筋は母指球筋の代表で、母指を小指側に向けて回旋させる対立運動を担う。短母指外転筋・短母指屈筋浅頭とともに「正中神経」支配。母指球筋4筋のうち母指内転筋以外の3筋が正中神経支配で、対立運動は把握動作に必須。
✗ 3. 誤り
示指伸筋
示指伸筋は前腕背側の伸筋群深層に属し、示指の単独伸展を担う。前腕の伸筋はすべて「橈骨神経」(深枝=後骨間神経)支配であり、示指伸筋もこの原則に従う。尺骨神経支配ではない。
✗ 4. 誤り
短母指伸筋
短母指伸筋は前腕背側深層の伸筋で、母指の中手指節(MP)関節伸展を担い、解剖学的嗅ぎタバコ入れ(snuff box)の橈側壁を構成する。前腕伸筋の原則どおり「橈骨神経」(深枝)支配であり、尺骨神経支配ではない。
ポイント
  • 母指内転筋は母指球筋唯一の尺骨神経支配筋(深枝)で、その他の母指球筋(短母指外転筋・短母指屈筋浅頭・母指対立筋)は正中神経支配。
  • 覚え方のコツ: 「母指球の3+1:3つは正中、内転筋だけ尺骨」と例外を限定的に覚える。手内筋全般は尺骨神経が原則で、母指球の3筋だけが正中神経の例外。
  • 関連知識: 尺骨神経は手内筋の大部分(小指球筋4筋・骨間筋・虫様筋3-4・母指内転筋・短母指屈筋深頭)を支配。正中神経の手内筋は母指球3筋+虫様筋1-2のみ。
  • よくある間違い: 「母指の筋=正中神経」と思い込みやすい。母指内転筋は名前に「母指」がつくが尺骨神経支配。Froment徴候はこの筋の機能を見るテストで、紙を母指で挟んだ際にIP関節が屈曲してしまうと陽性。
  • 臨床応用: 尺骨神経麻痺(肘部管症候群・肘部外傷)では小指球筋萎縮・骨間筋萎縮・第4-5指の鉤爪指(claw hand)・Froment徴候陽性が特徴。手内筋全体の萎縮で母指内転力低下が顕著。
比較表
手内筋 主な作用 支配神経
短母指外転筋 母指外転 正中神経
短母指屈筋(浅頭) 母指屈曲 正中神経
短母指屈筋(深頭) 母指屈曲 尺骨神経
母指対立筋 母指対立 正中神経
母指内転筋 母指内転 尺骨神経(深枝)
小指球筋(4筋) 小指の運動 尺骨神経
骨間筋(背側・掌側) 指の外転・内転 尺骨神経
虫様筋(第1-2) MP屈曲・PIP伸展 正中神経
虫様筋(第3-4) 同上 尺骨神経
解説画像
鍼灸 第9回(2001) 問題18|尺骨神経に支配されている筋はどれか。 解説図
鍼灸 第9回(2001) 問題18|尺骨神経に支配されている筋はどれか。
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