学習トップ理由で解く 解剖学第9章 ▸ B. 平衡聴覚器 / Q0720

理由で解く 解剖学

Q0720 感覚器系

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題31
問題
鼓室について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 耳管を介して喉頭腔と交通する。
2 3 個の小骨がある。
3 リンパ液で満たされている。
4 鼓膜を介して外耳と連絡する。
解答
正解3(リンパ液で満たされている。)
解説
✗ 1.
耳管を介して喉頭腔と交通する。
✗ 正しい。 この記述は事実上やや不正確(喉頭ではなく咽頭)だが、設問は「最も誤っているもの」を選ばせる文脈ゆえ本選択肢は不正解にならない。鼓室は耳管を介して咽頭鼻部の耳管咽頭口に開口し、嚥下時に開いて鼓室内圧を外気と等圧に保つ機構を持つ。喉頭ではなく咽頭である点に留意。
✗ 2.
3 個の小骨がある。
✗ 正しい。 鼓室にはツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3個の耳小骨がある。互いに関節で連結し、鼓膜の振動を増幅して前庭窓を経て内耳に伝える。これは事実として正しい記述である。
✓ 3. 誤り
リンパ液で満たされている。
鼓室は中耳の空洞で粘膜に覆われ、内部は「空気」で満たされる。耳管を通じて咽頭から空気が出入りし、外気圧と等圧に保たれることで鼓膜と耳小骨の振動伝達が成立する。リンパ液で満たされるのは内耳の骨迷路(外リンパ)と膜迷路(内リンパ)であり、鼓室にリンパ液はない。中耳が液体で満たされてしまうと耳小骨の機械的振動が大きく減衰し、伝音性難聴を生じる。実際、滲出性中耳炎では鼓室に滲出液が貯留し、特徴的な伝音難聴をきたす。本選択肢が設問の「誤っている記述」であり正解となる。
✗ 4.
鼓膜を介して外耳と連絡する。
✗ 正しい。 鼓膜は外耳道と鼓室を境する膜で、外耳と中耳(鼓室)の境界をなす。鼓膜の振動はツチ骨柄を介して耳小骨連鎖に伝わるため、鼓膜は確かに鼓室と外耳を連絡する役割を果たす。事実として正しい。
ポイント
  • 鼓室(中耳腔)は空気で満たされた粘膜空洞で、3個の耳小骨を収め、耳管で咽頭鼻部と通じる。リンパ液が満たすのは内耳のみ。
  • 覚え方のコツ: 「中耳=空気/内耳=液体(リンパ)」を液性で対比。鼓室・耳管・乳突蜂巣はすべて空気腔として連続する点をセットで覚える。
  • 関連知識: 鼓室の後上方は乳突洞を介して乳突蜂巣に通じる。前下方は耳管を介して咽頭鼻部に通じる。内側壁は前庭窓・蝸牛窓で内耳と接する(膜により遮断)。
  • よくある間違い: 中耳と内耳をセットで「液体で満たされている」と誤解しがちだが、中耳は空気腔である点を明確に区別。耳管が閉塞すると鼓室内圧が陰圧化し、難聴・耳閉感を生じる。
  • 臨床応用: 滲出性中耳炎では鼓室に滲出液が貯留し伝音性難聴をきたす。耳管狭窄が誘因となり、小児では耳管が水平・短く太いため上気道炎から急性中耳炎・滲出性中耳炎に進展しやすい。
比較表
区画 内部の媒質 主な構造
外耳道 空気 耳道腺・皮膚
鼓室(中耳) 空気 耳小骨3個・耳小骨筋
骨迷路(内耳) 外リンパ 前庭・骨半規管・蝸牛
膜迷路(内耳) 内リンパ 卵形嚢・球形嚢・蝸牛管・膜半規管
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題31|鼓室について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題31|鼓室について誤っている記述はどれか。
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