学習トップ理由で解く 解剖学第9章 ▸ B. 平衡聴覚器 / Q0717

理由で解く 解剖学

Q0717 感覚器系

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題30
問題
平衡・聴感覚について正しい記述はどれか。
選択肢
1 鼓室は口腔に開口する。
2 平衡覚の受容器はコルチ器である。
3 聴覚受容器には膨大部稜と平衡斑とがある。
4 内耳神経は蝸牛神経と前庭神経とからなる。
解答
正解4(内耳神経は蝸牛神経と前庭神経とからなる。)
解説
✗ 1. 誤り
鼓室は口腔に開口する。
鼓室は耳管を介して咽頭鼻部(耳管咽頭口)に開口する。口腔ではない。耳管によって鼓室内圧は外気圧と等圧に保たれ、鼓膜の振動が確保される。
✗ 2. 誤り
平衡覚の受容器はコルチ器である。
コルチ器(ラセン器)は蝸牛管の基底板上にある「聴覚」の受容器であって、平衡覚の受容器ではない。平衡覚を司るのは前庭の平衡斑(直線加速度)と半規管の膨大部稜(回転加速度)である。
✗ 3. 誤り
聴覚受容器には膨大部稜と平衡斑とがある。
膨大部稜(半規管膨大部)と平衡斑(卵形嚢・球形嚢)はいずれも「平衡覚」の受容器である。聴覚受容器はコルチ器(ラセン器)のみ。「平衡」と「聴」を逆にした典型的なひっかけ。
✓ 4. 正しい
内耳神経は蝸牛神経と前庭神経とからなる。
内耳神経(第VIII脳神経)は蝸牛神経と前庭神経の2根からなる。蝸牛神経は蝸牛軸内のラセン神経節を起点としコルチ器の有毛細胞からの聴覚情報を、前庭神経は前庭神経節(スカルパ神経節)を起点とし平衡斑・膨大部稜からの平衡覚情報を、それぞれ延髄・橋移行部の蝸牛神経核・前庭神経核へ伝える。両者は内耳道を経て頭蓋内に入る共通走行をとり、解剖学的に1本の神経束として扱われるため「内耳神経=聴神経+前庭神経の複合」という構造を確実に押さえる。
ポイント
  • 内耳神経(VIII)は蝸牛神経(聴覚)と前庭神経(平衡覚)の合成神経で、内耳道を通り橋延髄移行部に入る。
  • 覚え方のコツ: 「コルチ=聴/平衡斑=直線/膨大部稜=回転」と3点セットで暗記。語感で「コルチコルチで音聞く」「平衡斑は重力センサー」「膨大部稜はぐるぐる検出」とイメージで結びつける。
  • 関連知識: 耳管(鼓室→咽頭鼻部)は中耳の気圧調整を担う。蝸牛神経の一次ニューロン細胞体はラセン神経節、前庭神経の一次ニューロン細胞体は前庭神経節(スカルパ神経節)にある。
  • よくある間違い: 「コルチ器=平衡」「平衡斑・膨大部稜=聴覚」と機能を取り違えるミスが頻発する。「コルチは音、それ以外(前庭の中身)は平衡」と単純化して覚える。
  • 臨床応用: 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)は内耳道で前庭神経から発生し、難聴・めまい・耳鳴を初発症状とする。第VIII脳神経の蝸牛神経・前庭神経の二系統障害として説明される。
比較表
受容器 部位 感覚
コルチ器(ラセン器) 蝸牛管・基底板上 聴覚(音波)
平衡斑 卵形嚢・球形嚢 直線加速度・重力
膨大部稜 半規管膨大部(3本) 回転加速度
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題30|平衡・聴感覚について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題30|平衡・聴感覚について正しい記述はどれか。
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