学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ K. 自律神経系 / Q0683

理由で解く 解剖学

Q0683 神経系

出典:鍼灸 第17回(2009) 問題28
問題
自律神経系について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 自律神経の中枢は視床下部にある。
2 鼓索神経には交感神経線維が含まれる。
3 交感神経の節前ニューロンは胸髄から上部腰髄にかけて存在する。
4 骨盤内臓神経は副交感神経である。
解答
正解2(鼓索神経には交感神経線維が含まれる。)
解説
✗ 1.
自律神経の中枢は視床下部にある。
✗ 正しい。 自律神経の最高中枢は間脳の視床下部にある。視床下部は体温・飲水・摂食・概日リズム・内分泌・情動などの本能行動を統合し、交感神経・副交感神経の両方を上位から制御する。記述通りで正しい。なお下位中枢としては脳幹(呼吸中枢・循環中枢=延髄・橋)や脊髄側角がある。
✓ 2. 誤り
鼓索神経には交感神経線維が含まれる。
これが誤った記述(=本問の正解)。鼓索神経は顔面神経(VII)の枝であり、「副交感神経線維」と味覚線維(舌前2/3の味覚)を含む。橋の上唾液核から出た副交感節前線維が鼓索神経→舌神経→顎下神経節を経由し、節後線維として舌下腺・顎下腺に分布して唾液分泌を支配する。交感神経は脳神経には一切含まれないため「鼓索神経に交感神経」は解剖学的に成立しない。交感神経の唾液腺支配は上頸神経節由来の節後線維が外頸動脈に伴行して到達する経路をとり、鼓索神経とは全く別ルートである点を混同しないよう注意。
✗ 3.
交感神経の節前ニューロンは胸髄から上部腰髄にかけて存在する。
✗ 正しい。 交感神経の節前ニューロンは胸髄(T1)から上部腰髄(L2または一部L3)の側角に存在し、これが交感神経の「胸腰系」と呼ばれる起始部である。記述通りで正しい。前根→白交通枝→交感神経幹という経路で全身の交感神経節に達する。
✗ 4.
骨盤内臓神経は副交感神経である。
✗ 正しい。 骨盤内臓神経は仙髄(S2〜S4)側角から起始する副交感神経である。前仙骨孔から出て骨盤内臓(膀胱・直腸・内生殖器)に分布し、排尿・排便・勃起などの骨盤内機能を調節する。記述通りで正しい。脳神経の副交感(III・VII・IX・X)とあわせて副交感神経の「脳仙系」を形成する。
ポイント
  • 鼓索神経は顔面神経(VII)の枝で「副交感神経線維+味覚線維」を含む。交感神経は脳神経に含まれないため、「鼓索神経に交感線維」は解剖学的に誤り。
  • 覚え方のコツ: 唾液腺支配の副交感は「耳下腺=舌咽(IX)経由/顎下腺・舌下腺=顔面(VII)の鼓索神経経由」と分担を覚える。交感は上頸神経節から血管に伴行してくる別ルート。
  • 関連知識: 自律神経の最高中枢=視床下部、下位中枢=脳幹(延髄孤束核・橋・中脳)と脊髄側角(T1〜L2+S2〜S4)。骨盤内臓神経は副交感、大内臓神経・小内臓神経は交感という区別も重要。
  • よくある間違い: 鼓索神経を交感線維と誤解/骨盤内臓神経を交感と混同/視床下部以外(大脳基底核・小脳など)を自律神経の最高中枢と勘違い。
  • 臨床応用: 顔面神経麻痺で鼓索神経障害が起こると、病側舌前2/3の味覚障害と同側顎下腺・舌下腺の唾液分泌低下が生じる。骨盤内臓神経損傷(骨盤内手術・仙骨骨折)では神経因性膀胱・排尿困難・勃起障害の原因となる。
比較表
脳神経 副交感核(中枢) 通過する末梢神経 神経節 支配する臓器
動眼神経(III) 動眼神経副核 動眼神経 毛様体神経節 毛様体筋・瞳孔括約筋(縮瞳)
顔面神経(VII) 上唾液核 大錐体神経/鼓索神経 翼口蓋神経節/顎下神経節 涙腺・鼻腺/顎下腺・舌下腺
舌咽神経(IX) 下唾液核 小錐体神経 耳神経節 耳下腺
迷走神経(X) 迷走神経背側核 迷走神経 各臓器壁内神経節 胸腹部内臓(骨盤内臓除く)
解説画像
鍼灸 第17回(2009) 問題28|自律神経系について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第17回(2009) 問題28|自律神経系について誤っている記述はどれか。
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