学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ K. 自律神経系 / Q0681

理由で解く 解剖学

Q0681 神経系

出典:鍼灸 第1回(1993) 問題32
問題
自律神経系の特徴について誤っているのはどれか。
選択肢
1 中枢から目的の器官までの間に一度はニューロンを交代する。
2 交感神経幹は椎体の前外側面に沿って位置する。
3 脳神経に含まれる自律神経は交感神経である。
4 仙髄に節前ニューロンの細胞体があるのは副交感神経である。
解答
正解3(脳神経に含まれる自律神経は交感神経である。)
解説
✗ 1.
中枢から目的の器官までの間に一度はニューロンを交代する。
✗ 正しい。 自律神経の大原則であり、中枢から発した節前ニューロンは必ず途中の自律神経節で節後ニューロンに交代してから標的臓器に達する。これが運動神経(中枢から筋まで一本で到達)との決定的な違いで、この交代点が交感神経幹・腹腔神経節・毛様体神経節・壁内神経節などである。
✗ 2.
交感神経幹は椎体の前外側面に沿って位置する。
✗ 正しい。 交感神経幹は脊柱の両脇、椎体の前外側面に沿って縦走し、約20個の幹神経節が神経線維束でつながった「数珠玉状」の構造をとる。頸部から骨盤部まで左右一対で伸びており、各脊髄神経とは白交通枝・灰白交通枝(短い2本の交通枝)で連絡する。
✓ 3. 誤り
脳神経に含まれる自律神経は交感神経である。
これが誤りの選択肢。脳神経に含まれる自律神経は「副交感神経」であり、具体的には動眼神経(III)=毛様体神経節、顔面神経(VII)=翼口蓋神経節・顎下神経節、舌咽神経(IX)=耳神経節、迷走神経(X)=各臓器壁内神経節の4本だけが副交感線維を持つ。交感神経は脳神経には含まれず、すべて胸髄・上部腰髄(T1〜L2)の側角から起始し、交感神経幹を経由して全身に分布するため、「脳神経=副交感・脊髄胸腰=交感」の対比を確実に押さえる。
✗ 4.
仙髄に節前ニューロンの細胞体があるのは副交感神経である。
✗ 正しい。 副交感神経の節前ニューロンは「脳幹+仙髄(S2〜S4)側角」の二か所に分布する(脳仙系)。仙髄側角から出た節前線維は前仙骨孔を通り骨盤内臓神経となって膀胱・直腸・生殖器などの骨盤内臓に分布するため、本記述は正しい。交感神経の側角は胸髄〜上部腰髄(T1〜L2)にあり、仙髄側角は副交感である点が区別の鍵。
ポイント
  • 脳神経に含まれる自律神経は「副交感神経のみ」(III・VII・IX・X)。交感神経は脳神経には一切含まれず、すべて胸腰髄側角(T1〜L2)から起始する。
  • 覚え方のコツ: 「交感=胸腰(ThoracoLumbar)/副交感=脳仙(CranioSacral)」と二分割で暗記。脳神経の副交感4本は「3・7・9・10」=「さんしちくじゅう」とリズムで。
  • 関連知識: 交感神経は節前線維が短く節後線維が長い。副交感神経は節前線維が長く節後線維が短い(神経節が標的臓器の近くや壁内にあるため)。
  • よくある間違い: 「脳神経に交感神経が混在する」と誤解/仙髄側角を交感神経と取り違える/「前角=運動、側角=自律、後角=感覚」の層別を忘れる。
  • 臨床応用: ホルネル症候群は頸部交感神経幹の障害(肺尖部腫瘍・Pancoast腫瘍など)で縮瞳・眼瞼下垂・顔面発汗減少をきたす。迷走神経反射は副交感神経優位で徐脈・失神を起こす。
比較表
項目 交感神経(胸腰系) 副交感神経(脳仙系)
中枢(節前ニューロン細胞体) 胸髄〜上部腰髄の側角(T1〜L2) 脳幹の神経核+仙髄側角(S2〜S4)
脳神経への混在 なし III・VII・IX・X の4本
節前線維/節後線維 短い/長い 長い/短い
神経節の位置 交感神経幹(椎旁)・腹腔神経節など 標的臓器の近く・壁内神経節
主な拮抗作用 心拍↑・散瞳・気管支拡張・消化抑制 心拍↓・縮瞳・気管支収縮・消化亢進
解説画像
鍼灸 第1回(1993) 問題32|自律神経系の特徴について誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第1回(1993) 問題32|自律神経系の特徴について誤っているのはどれか。
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