学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0647

理由で解く 解剖学

Q0647 神経系

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題28
問題
神経の経路について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 腋窩神経は上腕骨の外科頸と接する。
2 橈骨神経は上腕骨骨幹部の後面と接する。
3 尺骨神経は上腕骨の外側上顆と接する。
4 総腓骨神経は腓骨頸と接する。
解答
正解3(尺骨神経は上腕骨の外側上顆と接する。)
解説
✗ 1.
腋窩神経は上腕骨の外科頸と接する。
✗ 正しい。 腋窩神経は上腕骨の外科頸を後面から取り巻くように走行する。肩関節脱臼や外科頸骨折ではこの部位で腋窩神経が損傷され、三角筋麻痺による肩外転障害と肩外側の感覚鈍麻を呈する。
✗ 2.
橈骨神経は上腕骨骨幹部の後面と接する。
✗ 正しい。 橈骨神経は上腕骨骨幹部後面の橈骨神経溝(螺旋溝)に接して斜めに走行する。この部位で上腕骨骨幹部骨折が起こると橈骨神経麻痺(下垂手)が生じやすく、骨折の代表的合併症として知られる。
✓ 3. 誤り
尺骨神経は上腕骨の外側上顆と接する。
尺骨神経が接するのは外側上顆ではなく「内側上顆」後面の尺骨神経溝である。いわゆる「ファニーボーン(肘の内側をぶつけた時の痺れ)」はこの部位で尺骨神経が皮下浅層を走るために生じる現象である。肘部管症候群ではこの内側上顆後方で尺骨神経が絞扼され、環指尺側と小指の感覚障害、手内在筋の萎縮(鷲手)を呈する。外側上顆は橈骨神経深枝やテニス肘(外側上顆炎)に関連する部位で、尺骨神経とは無関係である。
✗ 4.
総腓骨神経は腓骨頸と接する。
✗ 正しい。 総腓骨神経は膝窩外側を下って腓骨頭後外側を回り込み、腓骨頸を巻くように前方へ走行して浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれる。この部位で総腓骨神経は皮下浅層に位置し、腓骨頸骨折や長時間の正座・圧迫で麻痺を生じやすい。
ポイント
  • 末梢神経が骨と密接する部位は損傷を受けやすい。代表例は腋窩神経(外科頸)・橈骨神経(橈骨神経溝)・尺骨神経(内側上顆後面)・総腓骨神経(腓骨頸)。
  • 覚え方のコツ: 「上外科=腋窩、幹後=橈骨、内側上顆後=尺骨、腓骨頸=総腓骨」と骨のランドマークと神経をセットで記憶する。
  • 関連知識: 尺骨神経は肘部管を通るため、肘を曲げた状態の圧迫や反復伸展で肘部管症候群を起こす。橈骨神経は上腕骨中部に長時間圧迫がかかる「土曜夜麻痺」で麻痺する。
  • よくある間違い: 尺骨神経を外側上顆と誤る/橈骨神経と正中神経の上腕での位置関係を取り違える。
  • 臨床応用: 上腕骨骨幹部骨折→橈骨神経麻痺(下垂手)、内側上顆骨折→尺骨神経麻痺(鷲手)、腓骨頸骨折→総腓骨神経麻痺(下垂足)という対応は頻出。
比較表
神経 接する骨ランドマーク 代表的な麻痺症状
腋窩神経 上腕骨外科頸 肩外転障害・肩外側の感覚障害
橈骨神経 上腕骨中部後面(橈骨神経溝) 下垂手・前腕背側の感覚障害
正中神経 前腕遠位前面(手根管内) 猿手・母指球萎縮
尺骨神経 上腕骨内側上顆後面 鷲手・小指と環指尺側の感覚障害
総腓骨神経 腓骨頸 下垂足・下腿前外側の感覚障害
解説画像
鍼灸 第15回(2007) 問題28|神経の経路について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第15回(2007) 問題28|神経の経路について誤っている記述はどれか。
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