学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0648

理由で解く 解剖学

Q0648 神経系

出典:あマ指 第16回(2008) 問題30
問題
末梢神経の走行について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 筋皮神経は烏口腕筋を貫く。
2 正中神経は円回内筋の二頭の間を通る。
3 大腿神経は血管裂孔を通過する。
4 総腓骨神経は腓骨頸に接する。
解答
正解3(大腿神経は血管裂孔を通過する。)
解説
✗ 1.
筋皮神経は烏口腕筋を貫く。
✗ 正しい。 筋皮神経は腕神経叢外側神経束から起こり、烏口腕筋を貫通する特徴的な走行をもつ。貫通後は上腕二頭筋と上腕筋の間を下行して両筋を支配し、外側前腕皮神経となって前腕外側の皮膚感覚を担う。
✗ 2.
正中神経は円回内筋の二頭の間を通る。
✗ 正しい。 正中神経は上腕内側を下行して肘窩で上腕動脈の内側を通り、円回内筋の浅頭(上腕骨頭)と深頭(尺骨頭)の間を貫いて前腕屈筋群に入る。この部位での絞扼障害を円回内筋症候群という。
✓ 3. 誤り
大腿神経は血管裂孔を通過する。
大腿神経が通るのは血管裂孔ではなく「筋裂孔」である。鼠径靭帯の下方は腸恥弓によって内外に仕切られており、内側が血管裂孔(大腿動静脈・大腿輪・リンパが通る)、外側が筋裂孔(腸腰筋・大腿神経・外側大腿皮神経が通る)となる。大腿神経は腸腰筋の表面を下行してそのまま筋裂孔を通過し、大腿三角に出て大腿動脈の外側に位置する。血管裂孔を通るのは大腿動静脈であり、この誤認は頻出の引っかけ問題。
✗ 4.
総腓骨神経は腓骨頸に接する。
✗ 正しい。 総腓骨神経は坐骨神経が膝窩上部で分かれた枝で、膝窩外側を下って腓骨頭後外側を巻き、腓骨頸の外側で皮下浅層を走る。浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐する直前の部位である。
ポイント
  • 鼠径靭帯下方は腸恥弓で内外に区切られ、内側の血管裂孔(動静脈・リンパ)と外側の筋裂孔(腸腰筋・大腿神経)に分かれる。
  • 覚え方のコツ: 「大腿神経は筋と一緒(筋裂孔)、大腿動静脈は血管の裂孔」と名称どおりに記憶。大腿動脈の外側に神経が位置する(NAVY-C配列のN)。
  • 関連知識: 大腿三角内の並びは外側から大腿神経・大腿動脈・大腿静脈・大腿輪(NAVEL)。大腿ヘルニアは血管裂孔内側の大腿輪から脱出する。
  • よくある間違い: 大腿神経が血管裂孔を通ると誤る/筋皮神経が烏口突起を貫くと誤認する(正しくは烏口腕筋)。
  • 臨床応用: 腸腰筋膿瘍・骨盤骨折では筋裂孔内で大腿神経が圧迫され、膝伸展力低下と大腿前面の感覚障害を呈する。
比較表
通路 通過する構造
筋裂孔(鼠径靭帯下外側) 腸腰筋・大腿神経・外側大腿皮神経
血管裂孔(鼠径靭帯下内側) 大腿動脈・大腿静脈・リンパ管・大腿輪
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題30|末梢神経の走行について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題30|末梢神経の走行について誤っている記述はどれか。
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