学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0589

理由で解く 解剖学

Q0589 神経系

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題27
問題
脳神経について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 喉頭は迷走神経に支配される。
2 鼓索神経は顔面神経の枝である。
3 舌神経は下顎神経の枝である。
4 側頭筋は上顎神経に支配される。
解答
正解4(側頭筋は上顎神経に支配される。)
解説
✗ 1.
喉頭は迷走神経に支配される。
✗ 正しい。 喉頭の運動支配は迷走神経Xの枝である反回神経(下喉頭神経)が輪状甲状筋以外のすべての喉頭筋(声帯筋・内外側輪状披裂筋など)を、上喉頭神経外枝が輪状甲状筋を支配する。声帯粘膜の感覚も迷走神経が担うため、本記述は正しい。
✗ 2.
鼓索神経は顔面神経の枝である。
✗ 正しい。 鼓索神経は顔面神経VIIが顔面神経管内の茎乳突孔直前で分岐する枝で、中耳(鼓室)の内側を「鼓膜の索(弦)」のように横切って側頭下窩に出る。その後、舌神経(V3の枝)に合流して舌前2/3の味覚と顎下腺・舌下腺への副交感線維を運ぶ。本記述は正しい。
✗ 3.
舌神経は下顎神経の枝である。
✗ 正しい。 舌神経は三叉神経第3枝である下顎神経V3から分岐し、卵円孔を経て側頭下窩へ出たのち、舌前2/3の一般感覚(触覚・痛覚・温度覚)を担う。途中で顔面神経由来の鼓索神経が合流するため、感覚線維と味覚・副交感線維の複合体となる。本記述は正しい。
✓ 4. 誤り
側頭筋は上顎神経に支配される。
側頭筋は下顎を挙上する咀嚼筋であり、第1鰓弓由来のため三叉神経の運動根を含む下顎神経V3に支配される(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋の4つの咀嚼筋はすべてV3支配)。上顎神経V2は純粋に感覚性で、正円孔を通って頬・上顎歯・上唇の皮膚粘膜感覚のみを担い、運動線維は含まない。したがって本記述は誤りであり、正解の選択肢となる。
ポイント
  • 三叉神経3枝のうち運動線維を含むのはV3下顎神経のみ。V1眼神経・V2上顎神経はいずれも純感覚性で、咀嚼筋などの運動支配には関与しない。
  • 覚え方のコツ: 「咀嚼筋はV3、表情筋はVII、舌筋はXII」と3筋群別にセット記憶。V2は通過孔の正円孔とセットで「V2=正円=感覚専用」と覚える。
  • 関連知識: 迷走神経の反回神経は左右で走行が異なる:右反回神経は鎖骨下動脈の下をくぐり、左反回神経は大動脈弓の下(動脈管索の外側)をくぐって上行し、食道と気管の間の溝を通って喉頭に至る。左の方が長く、大動脈瘤や胸部手術による障害を受けやすい。
  • よくある間違い: 「三叉神経は全枝に運動線維が含まれる」と誤解し、V1・V2からも咀嚼筋支配が出ると誤解する誤り/「側頭筋の上に走るのは側頭神経だからV2由来」と場所で判断する誤り/鼓索神経を三叉神経の枝と誤解する誤り(顔面神経由来で下顎神経の枝に合流するだけ)。
  • 臨床応用: 咀嚼筋麻痺を呈する患者では下顎神経V3の障害を疑う(顎関節症などによる筋症状の鑑別も重要)。反回神経麻痺では嗄声や誤嚥が生じ、甲状腺手術・肺癌・大動脈瘤などが原因となる。
解説画像
鍼灸 第15回(2007) 問題27|脳神経について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第15回(2007) 問題27|脳神経について誤っている記述はどれか。
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