学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0590

理由で解く 解剖学

Q0590 神経系

出典:あマ指 第16回(2008) 問題29
問題
運動線維のみからなる神経はどれか。
選択肢
1 顔面神経
2 下顎神経
3 舌咽神経
4 副神経
解答
正解4(副神経)
解説
✗ 1. 誤り
顔面神経
顔面神経VIIは運動線維(表情筋)に加え、特殊感覚線維(舌前2/3の味覚)および副交感線維(涙腺・顎下腺・舌下腺・鼻粘膜の分泌)を含む混合神経である。運動線維のみとはいえない。
✗ 2. 誤り
下顎神経
下顎神経V3は三叉神経3枝のうち唯一運動線維を含むが、顔面下部・下顎歯・舌前2/3の一般感覚を伝える感覚線維が大部分を占める混合神経である。運動線維のみではない。
✗ 3. 誤り
舌咽神経
舌咽神経IXは茎突咽頭筋の運動のほか、舌後1/3の一般感覚・味覚、咽頭粘膜の感覚、耳下腺への副交感分泌など多彩な線維を含む典型的な混合神経である。運動線維のみではない。
✓ 4. 正しい
副神経
副神経XIは延髄由来の脳根(舌咽・迷走神経と同起源)と上位頸髄(C1〜C5)由来の脊髄根が合流して形成される純運動性の脳神経である。頸静脈孔を通って頭蓋外へ出たのち、脳根由来の線維は迷走神経と合流し咽頭・喉頭筋支配に、脊髄根由来の線維は胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布する。感覚線維も副交感線維も含まないため、運動線維のみからなる脳神経として古典的な例となる。なお、純運動性脳神経は動眼III・滑車IV・外転VI・副XI・舌下XIIの5本とされ、このうちIIIは副交感線維も含む。
ポイント
  • 純運動性の脳神経は IV(滑車)・VI(外転)・XI(副)・XII(舌下)の4本+動眼神経III(運動+副交感)。純感覚性は I(嗅)・II(視)・VIII(内耳)の3本。残りV・VII・IX・Xは混合神経。
  • 覚え方のコツ: 「感覚のみ=1・2・8(I・II・VIII)」「運動のみ=4・6・11・12(IV・VI・XI・XII)」「副交感あり=3・7・9・10(III・VII・IX・X)」と番号でグループ化する。
  • 関連知識: 副神経は上部頸髄(C1〜C5)の脊髄根が大後頭孔から頭蓋内へいったん入り、延髄由来の脳根と合流したあと頸静脈孔で頭蓋外へ抜けるという独特の経路をとる。頭蓋外では胸鎖乳突筋の深層を貫いて頸部外側三角を斜走し、僧帽筋の深面に入って終わる。
  • よくある間違い: 舌咽神経の「咽」で運動中心と誤解する誤り(感覚・味覚・副交感も含む混合神経)/下顎神経V3は運動性と決めつけて感覚線維の大きさを見落とす誤り/動眼神経IIIを「純運動性」と誤解する誤り(瞳孔括約筋への副交感線維を含む)。
  • 臨床応用: 副神経麻痺では胸鎖乳突筋の対側回旋力低下と僧帽筋の肩甲骨挙上・内転力低下が生じ、肩甲骨下角の外方偏位(翼状肩甲)が現れる。頸部リンパ節生検や頸部郭清術などの外科操作で医原性に損傷されうる。
比較表
分類 脳神経
純感覚性 I 嗅・II 視・VIII 内耳
純運動性 IV 滑車・VI 外転・XI 副・XII 舌下
運動+副交感 III 動眼
混合神経(運動・感覚・副交感) V 三叉・VII 顔面・IX 舌咽・X 迷走
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題29|運動線維のみからなる神経はどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題29|運動線維のみからなる神経はどれか。
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