
この図の解説
図は側頭下窩から顔面側方にかけて、下顎神経V₃の枝と咀嚼筋群の位置関係を描き、左下のチャートで①硬膜枝から⑪下歯槽神経までを整理している。まず押さえるべきは、下顎神経が卵円孔を通って側頭下窩へ出る、三叉神経で唯一運動線維を含む枝だという点である。運動枝(SVE)は咬筋神経・深側頭神経(側頭筋を支配)・内側翼突筋神経・外側翼突筋神経など咀嚼筋群を支配する。知覚枝(GSA)には頬神経、耳介側頭神経(側頭部の知覚)、舌神経(舌体前2/3の一般知覚)、下歯槽神経があり、下歯槽神経は下顎管を走った末端がオトガイ神経としてオトガイ部の皮膚に分布する。図で見落としやすいのは「便乗する他神経」で、舌神経には顔面神経由来の鼓索神経(舌前2/3の味覚)が合流し、耳介側頭神経には舌咽神経由来の副交感線維(耳神経節を経て耳下腺へ)が加わる。V₃自身の線維と、乗り入れてくる線維を分けて読むのがこの図の要点である。
学習の要点
- 下顎神経V₃は三叉神経の第3枝で、卵円孔を通って側頭下窩へ出る。三叉神経の3枝のうち運動線維を含むのはV₃のみである。
- 覚え方のコツ: 三叉神経の出口を上から順に「上眼窩裂(V₁)・正円孔(V₂)・卵円孔(V₃)」。運動はいちばん下のV₃だけ、と紐づける。
- 関連知識: V₃が支配する咀嚼筋は咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋。舌神経に合流する鼓索神経は表情筋を動かす顔面神経の枝で、味覚を運ぶ。
- よくある間違い: 舌神経が運ぶのは舌前2/3の「一般知覚」。同じ部位の「味覚」は鼓索神経(顔面神経)由来で、舌神経そのものは味覚神経ではない。
- 臨床応用: 下歯槽神経は下顎歯の伝達麻酔の標的。オトガイ孔付近での圧迫・損傷でオトガイ部の皮膚にしびれが出る。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
下歯槽神経は下顎管を通ったのち、その末端が( )神経としてオトガイ部の皮膚に分布する。
答えを見る
答え: オトガイ
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。