学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0599

理由で解く 解剖学

Q0599 神経系

出典:あマ指 第19回(2011) 問題30
問題
脳神経とその機能との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 上顎神経 ― 嚥下運動
2 顔面神経 ― 顔面の感覚
3 舌咽神経 ― 舌の運動
4 迷走神経 ― 発声
解答
正解4(迷走神経 ― 発声)
解説
✗ 1. 誤り
上顎神経 ― 嚥下運動
上顎神経V2は純感覚性で、上顎歯・頬・上唇・鼻粘膜・口蓋粘膜の一般感覚を担うが、運動機能はない。嚥下運動は舌咽神経IX・迷走神経Xが協働して担当する。組合せは誤り。
✗ 2. 誤り
顔面神経 ― 顔面の感覚
顔面神経VIIの機能は表情筋の運動・舌前2/3の味覚・涙腺と顎下腺・舌下腺の副交感分泌。顔面の一般感覚は三叉神経Vが担当するため、顔面神経の機能ではない。組合せは誤り。
✗ 3. 誤り
舌咽神経 ― 舌の運動
舌咽神経IXは茎突咽頭筋の運動と舌後1/3の感覚・味覚、耳下腺への副交感分泌などを担うが、舌筋の運動には関与しない。舌の運動支配はすべて舌下神経XIIである(口蓋舌筋のみ迷走神経X)。組合せは誤り。
✓ 4. 正しい
迷走神経 ― 発声
迷走神経Xは反回神経(下喉頭神経)を分岐し、輪状甲状筋を除くすべての喉頭筋(声帯筋・内外側輪状披裂筋・披裂筋・後輪状披裂筋)を支配して声帯を動かす。輪状甲状筋は上喉頭神経外枝が支配するが、これも迷走神経の枝である。したがって喉頭筋を動かして発声を担う機能はすべて迷走神経Xが司る。組合せは正しい。反回神経は左が大動脈弓下、右が鎖骨下動脈下を回って上行する非対称な走行をとる。
ポイント
  • 迷走神経Xは咽頭筋・喉頭筋の運動(嚥下・発声)、胸腹部内臓の副交感支配、外耳・咽頭の感覚、一部味覚(喉頭蓋)と、脳神経の中で最も広く長い分布範囲をもつ。名前の「迷走」は分布範囲の広さに由来。
  • 覚え方のコツ: 「発声=反回神経=迷走神経の枝」と3段階リンクで覚える。反回神経は名前通り「一旦下がって回って戻る(recurrent)」神経で、左は大動脈弓を、右は鎖骨下動脈を回り込む。
  • 関連知識: 迷走神経の走行は「頸部=頸動脈鞘内(内頸静脈と総頸動脈の間)、胸部=右は鎖骨下動脈前・左は大動脈弓前→反回神経分岐→食道周囲で食道神経叢形成、腹部=食道裂孔を通過し前後迷走神経幹として胃・肝・腎・結腸前2/3まで」と頸→胸→腹の3段階で覚える。
  • よくある間違い: 舌咽神経IXを「舌の運動神経」と誤解する誤り(運動は舌下神経XII)/顔面神経VIIに顔面感覚を結びつける誤り/反回神経を「反射の神経」と誤解する誤り(実際は「recurrent」=下から上に戻ってくる経路の意)。
  • 臨床応用: 反回神経麻痺では声帯運動障害による嗄声と誤嚥が生じる。左反回神経は走行が長く大動脈弓を回り込むため、肺癌(左肺門部)・大動脈瘤・食道癌・甲状腺癌などで障害されやすく、嗄声が初発症状となる。
解説画像
あマ指 第19回(2011) 問題30|脳神経とその機能との組合せで正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第19回(2011) 問題30|脳神経とその機能との組合せで正しいのはどれか。
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