学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0600

理由で解く 解剖学

Q0600 神経系

出典:鍼灸 第19回(2011) 問題30
問題
感覚受容器と神経との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 平衡斑 ― 舌咽神経
2 味蕾 ― 舌下神経
3 網膜 ― 眼神経
4 コルチ器 ― 蝸牛神経
解答
正解4(コルチ器 ― 蝸牛神経)
解説
✗ 1. 誤り
平衡斑 ― 舌咽神経
平衡斑は卵形嚢・球形嚢の内部にあり、有毛細胞の上に載った耳石(炭酸カルシウム結晶)のずれによって直線加速度・重力を感受する前庭性の受容器で、内耳神経VIIIのうち前庭神経が信号を伝える。前庭神経節は内耳道底にある。舌咽神経ではない。組合せは誤り。
✗ 2. 誤り
味蕾 ― 舌下神経
味蕾は舌乳頭(有郭乳頭・葉状乳頭・茸状乳頭)に分布する味覚受容器で、舌前2/3の味覚は顔面神経VII(鼓索神経)、後1/3は舌咽神経IXが担当する。舌下神経XIIは純運動性で味覚は一切伝えない。組合せは誤り。
✗ 3. 誤り
網膜 ― 眼神経
網膜は光(視覚)の受容器で、視細胞(桿体・錐体)で変換された信号は双極細胞を経て神経節細胞へ伝達され、その軸索が束になって視神経IIを形成する。眼神経V1は三叉神経の枝で、眼球周囲の皮膚・角膜・結膜などの一般感覚を担うが、網膜には分布しない。組合せは誤り。
✓ 4. 正しい
コルチ器 ― 蝸牛神経
コルチ器(ラセン器)は内耳の蝸牛内の基底板上にある聴覚受容器で、有毛細胞が基底板振動を神経信号に変換する。有毛細胞からの信号は蝸牛神経節(ラセン神経節)の双極細胞を経て蝸牛神経(内耳神経VIIIの枝)として中枢へ伝えられる。蝸牛神経は平衡覚を伝える前庭神経とともに内耳神経を構成し、内耳道底で合流して内耳孔から頭蓋腔に入り、橋下縁から脳に進入する。組合せは正しく、これが正解の選択肢となる。
ポイント
  • 特殊感覚の受容器と脳神経の対応:視覚(網膜)=II、嗅覚(嗅上皮)=I、聴覚(コルチ器)=VIII蝸牛神経、平衡覚(平衡斑・膨大部稜)=VIII前庭神経、味覚(味蕾)=VII前2/3+IX後1/3+X(喉頭蓋)。
  • 覚え方のコツ: 内耳神経VIII=「蝸牛(聴覚)+前庭(平衡)」とセットで記憶。網膜=視神経II(視細胞の軸索ではなく神経節細胞の軸索が視神経を構成する)と覚える。
  • 関連知識: 蝸牛神経の一次ニューロン細胞体はラセン神経節(蝸牛軸内)にあり、二次ニューロンは橋下部の蝸牛神経核から始まる。聴覚伝導路は外側毛帯→下丘→内側膝状体→側頭葉聴覚野(ヘシュル回)と進む。前庭神経の一次ニューロンは内耳道底の前庭神経節にある。
  • よくある間違い: 舌下神経XIIに味覚を結びつける誤り(舌下神経は純運動性)/眼神経V1に網膜支配を結びつける誤り(眼神経は一般感覚のみ)/平衡斑を舌咽神経・迷走神経の支配と誤解する誤り(内耳神経VIIIの前庭神経)。
  • 臨床応用: 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)は内耳道内に発生し、初期は蝸牛神経圧迫で片側性感音難聴・耳鳴、進行すると前庭神経障害でめまい、さらに拡大すれば顔面神経VIIや三叉神経V圧迫症状が出る。神経解剖的位置関係が臨床症状の順序を規定する好例である。
比較表
感覚 受容器 担当神経
視覚 網膜の視細胞 II 視神経
嗅覚 鼻腔嗅上皮の嗅細胞 I 嗅神経
聴覚 蝸牛のコルチ器 VIII 蝸牛神経
平衡覚(線加速度・重力) 卵形嚢・球形嚢の平衡斑 VIII 前庭神経
平衡覚(角加速度) 半規管膨大部稜 VIII 前庭神経
味覚(前2/3) 茸状乳頭・葉状乳頭前部の味蕾 VII(鼓索神経)
味覚(後1/3・有郭乳頭) 有郭乳頭の味蕾 IX 舌咽神経
味覚(喉頭蓋) 喉頭蓋の味蕾 X 迷走神経
解説画像
鍼灸 第19回(2011) 問題30|感覚受容器と神経との組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第19回(2011) 問題30|感覚受容器と神経との組合せで正しいのはどれか。
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