学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0573

理由で解く 解剖学

Q0573 神経系

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題28
問題
脳神経と通路との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 視神経 ― 視神経管
2 動眼神経 ― 上眼窩裂
3 滑車神経 ― 卵円孔
4 上顎神経 ― 正円孔
解答
正解3(滑車神経 ― 卵円孔)
解説
✗ 1.
視神経 ― 視神経管
✗ 正しい。 視神経(II)は蝶形骨小翼の基部にある視神経管を通って眼窩と頭蓋腔を連絡する。眼動脈も同じ管を通過する。視神経管→視交叉→視索→外側膝状体→視放線→後頭葉視覚野の視覚伝導路の入口に当たる。
✗ 2.
動眼神経 ― 上眼窩裂
✗ 正しい。 動眼神経(III)は中脳から出て上眼窩裂を通り眼窩に入る。上眼窩裂には動眼神経のほか、滑車神経(IV)、三叉神経第1枝の眼神経(V1)、外転神経(VI)、上眼静脈も通過する「眼球運動神経の束」である。
✓ 3. 誤り
滑車神経 ― 卵円孔
滑車神経(IV)は中脳背面から出て上眼窩裂を通って眼窩に入り、外眼筋の上斜筋を支配する。卵円孔ではなく「上眼窩裂」が正しい通路であり、この組合せは誤りである。卵円孔は蝶形骨大翼に開き、三叉神経第3枝の下顎神経(V3)が中頭蓋窩から側頭下窩へ抜ける通路である。上眼窩裂を通る脳神経はIII・IV・V1・VIの4本、正円孔はV2、卵円孔はV3と、三叉神経3枝の出孔は蝶形骨の「裂→孔→孔」で整理する。なお、滑車神経は脳神経中で最も細く、脳神経中唯一脳幹背側から出るという二重の特徴を持ち、頭蓋底骨折で損傷されやすい。
✗ 4.
上顎神経 ― 正円孔
✗ 正しい。 三叉神経第2枝の上顎神経(V2)は正円孔を通って中頭蓋窩から翼口蓋窩へ抜ける。正円孔は蝶形骨大翼に開く円形の孔で、頬部・上口唇・上顎歯・鼻腔粘膜の感覚を担う枝を出すため、組合せは正しい。
ポイント
  • 滑車神経(IV)は上眼窩裂を通って眼窩に入り上斜筋を支配。卵円孔は三叉神経V3下顎神経の通路であり両者は別物。
  • 覚え方のコツ: 三叉神経3枝の出孔は「V1=上眼窩裂/V2=正円孔/V3=卵円孔」と上から下へ「裂→円→卵」の順。上眼窩裂通過はIII・IV・V1・VIの4本。
  • 関連知識: 上眼窩裂は蝶形骨小翼と大翼の間のスリット状の裂。脳神経4本+上眼静脈が通過し、海綿静脈洞症候群の障害部位の解剖学的基盤となる。
  • よくある間違い: V2・V3の通過孔は「正円・卵円」の紛らわしい名前のため混同しやすい。V2は正円、V3は卵円と「正上・卵下」とセットで記憶する。
  • 臨床応用: 滑車神経麻痺では上斜筋が働かず、患側眼が内上方に偏位し複視(特に階段を下りるとき顕著)を来す。糖尿病・頭部外傷で好発する。
比較表
脳神経 通過する孔・裂
I 嗅神経 篩板(篩骨)
II 視神経 視神経管(蝶形骨小翼)
III 動眼/IV 滑車/V1 眼/VI 外転 上眼窩裂(蝶形骨)
V2 上顎 正円孔(蝶形骨大翼)
V3 下顎 卵円孔(蝶形骨大翼)
VII 顔面/VIII 内耳 内耳孔(側頭骨錐体部)
IX 舌咽/X 迷走/XI 副 頸静脈孔
XII 舌下 舌下神経管(後頭骨)
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題28|脳神経と通路との組合せで誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題28|脳神経と通路との組合せで誤っているのはどれか。
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