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理由で解く 解剖学

Q0079 循環器系

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題27
問題
心臓の血管系について正しい記述はどれか。
選択肢
1 冠状動脈は胸大動脈から分枝する。
2 左冠状動脈は心臓の前壁を覆う。
3 冠状静脈が分枝する。
4 静脈血は上大静脈へ注ぐ。
解答
正解2(左冠状動脈は心臓の前壁を覆う。)
解説
✗ 1. 誤り
冠状動脈は胸大動脈から分枝する。
冠状動脈は胸大動脈からではなく、上行大動脈の基部(大動脈洞)から左右1対で起始する。胸大動脈からは肋間動脈・食道動脈・気管支動脈などが分枝するが、冠状動脈は含まれない。
✓ 2. 正しい
左冠状動脈は心臓の前壁を覆う。
左冠状動脈は上行大動脈基部の左側から起こり、肺動脈と左心耳の間を通って冠状溝に達した後、前室間枝(左前下行枝:LAD)として前室間溝を心尖に向かって下行し、心臓の前壁(左心室前壁・心室中隔の前方部)を栄養する。さらに冠状溝を左後方に向かう回旋枝を分け、左心室の側壁・後壁へ分布する。「左冠状動脈=心臓前壁を覆う」という記述はこの前室間枝の走行を指したもので適切である。
✗ 3. 誤り
冠状静脈が分枝する。
心臓の静脈は分枝(分岐)するのではなく、末梢の細静脈から大静脈に向かって集合する血管である。心臓表面では大心臓静脈・中心臓静脈などが冠状静脈洞に集まり、右心房後面に注ぐ。「冠状静脈が分枝する」という表現は誤り。
✗ 4. 誤り
静脈血は上大静脈へ注ぐ。
心臓自身の静脈血(冠状循環の静脈血)は上大静脈ではなく、冠状静脈洞を介して右心房後面に直接注ぐ。上大静脈は上半身からの静脈血を集めて右心房に注ぐ大静脈で、心筋の静脈血を集めるのは冠状静脈洞である。
ポイント
  • 左冠状動脈は前室間枝(LAD)と回旋枝に分かれ、心臓前壁・左室側壁を広く栄養する。
  • 覚え方のコツ: 「左冠=前室間枝+回旋枝」、「右冠=右心室と後室間枝」で機能分担を把握。心臓の静脈血は冠状静脈洞→右心房。
  • 関連知識: 冠状動脈は上行大動脈基部から起始する。冠動脈は終動脈の性格を持ち、吻合はわずか。
  • よくある間違い: 冠状動脈の起始を胸大動脈・大動脈弓と誤る。冠状静脈洞の注ぎ先を上大静脈と誤る。
  • 臨床応用: 左前下行枝(LAD)の閉塞は広範な前壁梗塞を生じ「widow maker」と呼ばれ死亡率が高い。右冠状動脈は洞房結節・房室結節を養うため、閉塞すると徐脈・房室ブロックを起こしやすい。
比較表
血管 起始・走行 主な栄養・還流域
右冠状動脈 上行大動脈基部・前面→冠状溝右→後室間枝 右心房・右心室、心室中隔後方、洞房結節・房室結節
左冠状動脈(前室間枝) 上行大動脈基部・左側→前室間溝 左心室前壁、心室中隔前方
左冠状動脈(回旋枝) 冠状溝左→後方 左心房、左心室側壁・後壁
冠状静脈洞 心臓後面の冠状溝 心臓静脈を集め右心房に開口
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題27|心臓の血管系について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題27|心臓の血管系について正しい記述はどれか。
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