学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ H. 伝導路 / Q0567

理由で解く 解剖学

Q0567 神経系

出典:鍼灸 第6回(1998) 問題28
問題
示指背側面からの痛覚伝導路で誤っている部位はどれか。
選択肢
1 尺骨神経
2 頸髄後角
3 視床
4 内包
解答
正解1(尺骨神経)
解説
✓ 1. 誤り
尺骨神経
✓ 正しい(=誤った部位)。 示指(人差し指)の背側面の感覚は「橈骨神経」(浅枝)が支配する領域であり、尺骨神経の支配領域ではない。尺骨神経が支配するのは小指全体と環指の尺側半(手背でも同様)であり、示指背側からの求心性線維は尺骨神経を通らない。本問はこの誤りを問うている。
✗ 2.
頸髄後角
✗ 正しい。 頸髄後角は通過する。示指背側からの痛覚情報は橈骨神経→C6-C7後根→脊髄神経節→頸髄後角に入り、ここで2次ニューロンに乗り換える。痛覚・温度覚は外側脊髄視床路を上行するため後角の介在ニューロンを必ず経由する。
✗ 3.
視床
✗ 正しい。 視床は通過する。脊髄後角で2次ニューロンに乗り換えた痛覚線維は対側の外側脊髄視床路を上行し、視床(後外側腹側核VPL)で3次ニューロンに乗り換えて大脳皮質に投射される。視床は感覚情報の中継核として全身体性感覚を必ず経由する。
✗ 4.
内包
✗ 正しい。 内包は通過する。視床から大脳皮質一次体性感覚野(中心後回)へ投射する3次ニューロンの軸索は、内包後脚を通って放線冠を経て中心後回に到達する。皮質脊髄路(運動)が内包後脚を下行するのと併走する形で、視床皮質投射(感覚)が上行する。
ポイント
  • 示指背側の感覚は橈骨神経(浅枝)が担当し、痛覚伝導路は橈骨神経→C6-C7後根→頸髄後角→(対側へ交叉)→外側脊髄視床路→視床VPL→内包後脚→中心後回。
  • 覚え方のコツ: 「手の感覚は3神経が分担:母指側=正中(掌)/橈骨(背)、小指側=尺骨(掌背とも)」。手背は母指〜橈側半が橈骨神経、尺側半が尺骨神経。
  • 関連知識: 痛覚・温度覚は外側脊髄視床路(脊髄後角で交叉、対側上行)、深部覚・触圧覚は後索路(同側上行で延髄交叉)の2系統。両者は脊髄半側障害(Brown-Séquard症候群)で解離性に出現する。
  • よくある間違い: 「手の感覚=正中・尺骨」と2神経で覚えると橈骨神経の手背支配を見落とす。橈骨神経浅枝が手背の橈側2/3を支配することを忘れない。
  • 臨床応用: 橈骨神経麻痺(橈骨神経溝部)では下垂手とともに第1-2指間背側(タバコ窩部)の感覚障害が特徴的に出現する。Brown-Séquard症候群では病変側で深部覚消失、対側で痛覚消失(解離性感覚障害)。
比較表
痛覚伝導路の段階 部位 線維
受容器 自由神経終末 C線維・Aδ線維
1次ニューロン 脊髄神経節(後根神経節) 末梢神経経由(橈骨神経など)
後根→後角 脊髄後角(Rexed I・V層) シナプス交代
2次ニューロン 前白交連で対側へ交叉 外側脊髄視床路を上行
3次ニューロン 視床VPL→内包後脚→放線冠 中心後回(一次体性感覚野)に投射
解説画像
鍼灸 第6回(1998) 問題28|示指背側面からの痛覚伝導路で誤っている部位はどれか。 解説図
鍼灸 第6回(1998) 問題28|示指背側面からの痛覚伝導路で誤っている部位はどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手