学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0568

理由で解く 解剖学

Q0568 神経系

出典:あマ指 第1回(1993) 問題32
問題
胸部や腹部にまで分布する脳神経はどれか。
選択肢
1 三叉神経
2 舌咽神経
3 迷走神経
4 副神経
解答
正解3(迷走神経)
解説
✗ 1. 誤り
三叉神経
第V脳神経で、眼神経・上顎神経・下顎神経の3枝に分かれて顔面の皮膚・粘膜・歯・舌の感覚と咀嚼筋運動を担う。分布域は頭部に限局し、頸部より下方の胸腹部には及ばない。
✗ 2. 誤り
舌咽神経
第IX脳神経で、延髄上部から出て頸静脈孔を通過する。舌後1/3の味覚と咽頭粘膜の感覚、咽頭筋の嚥下運動、副交感性に耳下腺への唾液分泌を担うが、分布は頸部までで胸腹部には達しない。
✓ 3. 正しい
迷走神経
第X脳神経は延髄外側から起こり頸静脈孔を出たのち、内頸静脈と総頸動脈の間を下行して縦隔に入り、食道とともに横隔膜を貫いて腹腔へ進入する。頸部では咽喉頭、胸部では心臓・気管・気管支・食道、腹部では骨盤領域を除く消化管(横行結腸まで)・肝臓・膵臓などの広範な内臓に副交感性線維を送る。名前の「迷う(vagus)」が示すとおり脳神経のなかで最長の走行を誇り、内臓運動・腺分泌・平滑筋制御を一手に担う点が最大の特徴である。
✗ 4. 誤り
副神経
第XI脳神経で、舌咽神経・迷走神経とともに頸静脈孔を通って頭蓋外に出る。支配は頸部の胸鎖乳突筋と僧帽筋という2筋のみで、運動性の限局した神経であり、胸腹腔の内臓には分布しない。
ポイント
  • 迷走神経は脳神経中で唯一胸腹部内臓まで達し、副交感性に心拍抑制・気管支収縮・消化管運動促進を行う最長の神経である。
  • 覚え方のコツ: 「迷走=さまよう神経」と意味から結びつけ、「下行経路=頸→縦隔(大動脈弓の前)→食道とともに横隔膜貫通→腹腔」と一本の道筋で図示して覚える。
  • 関連知識: 副交感性脳神経はIII・VII・IX・Xの4つで、分布領域はIII眼内、VII顔面腺、IX耳下腺、X胸腹部内臓と棲み分けされる。反回神経は迷走神経の分枝で声帯筋を支配。
  • よくある間違い: 舌咽神経や副神経が頸静脈孔を共に通るため、同じく胸腹部へ行くと混同しやすい。頸静脈孔を通る3神経のうち胸腹部まで達するのは迷走神経のみ。
  • 臨床応用: 胸部手術や頸部腫瘍で反回神経麻痺が生じると嗄声となる。迷走神経刺激は徐脈・失神(血管迷走神経反射)の原因となり、てんかん治療用の迷走神経刺激装置も臨床応用されている。
比較表
脳神経 分布領域 副交感性分布
III 動眼神経 眼窩内(外眼筋4つ+上眼瞼挙筋) 瞳孔括約筋・毛様体筋
VII 顔面神経 顔面(表情筋・舌前2/3味覚) 涙腺・顎下腺・舌下腺
IX 舌咽神経 咽頭・舌後1/3 耳下腺
X 迷走神経 頸部・胸部・腹部内臓(最長) 胸腹部内臓(骨盤臓器除く)
解説画像
あマ指 第1回(1993) 問題32|胸部や腹部にまで分布する脳神経はどれか。 解説図
あマ指 第1回(1993) 問題32|胸部や腹部にまで分布する脳神経はどれか。
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