学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0575

理由で解く 解剖学

Q0575 神経系

出典:鍼灸 第6回(1998) 問題29
問題
顔面神経の分布部位でないのはどれか。
選択肢
1 表情筋
2 舌粘膜
3 涙腺
4 角膜
解答
正解4(角膜)
解説
✗ 1.
表情筋
✗ 正しい。 顔面神経(VII)の最も代表的な支配である。側頭枝・頬骨枝・頬筋枝・下顎縁枝・頸枝の5終枝に分かれ、眼輪筋・口輪筋・頬筋・前頭筋などの表情筋を動かす。Bell麻痺ではこれらが一側性に麻痺する。
✗ 2.
舌粘膜
✗ 正しい。 顔面神経管内で顔面神経から分岐した鼓索神経が下顎神経の舌神経に合流し、舌前2/3の味覚を受け持つ。したがって舌粘膜(特に前2/3の味蕾領域)は顔面神経の分布部位に含まれる。
✗ 3.
涙腺
✗ 正しい。 顔面神経管内で分岐する大錐体神経が翼口蓋神経節で節後ニューロンに交代し、涙腺・鼻粘膜の腺に副交感線維として分布する。したがって涙腺は顔面神経の副交感性分布領域である。
✓ 4. 誤り
角膜
角膜の知覚は三叉神経第1枝の眼神経(V1)から分岐する毛様体神経が担当するため、顔面神経の分布領域ではない。角膜反射は、求心路=V1眼神経(角膜の刺激を感知)、遠心路=VII顔面神経(眼輪筋を動かして閉眼させる)という反射弓を構成するが、角膜そのものへの神経分布はあくまでV1である。顔面神経は運動性に表情筋、感覚性に舌前2/3味覚、副交感性に涙腺・顎下腺・舌下腺を支配するが、顔面の皮膚感覚および角膜感覚には関与しない。角膜反射の求心路と遠心路を混同して、角膜も顔面神経支配と誤解しやすい点に注意する。顔面神経麻痺(Bell麻痺)では閉眼不全(兎眼)から角膜乾燥・角膜潰瘍を来すが、これは「角膜を守れない」ためであって角膜知覚は保たれる。
ポイント
  • 顔面神経の分布は「表情筋運動・舌前2/3味覚・涙腺/顎下腺/舌下腺への副交感」の3本柱で、顔面皮膚と角膜知覚は三叉神経(V1)の担当である。
  • 覚え方のコツ: 顔面神経の枝を走行順に「大錐体神経(涙腺)→アブミ骨筋神経(アブミ骨筋)→鼓索神経(舌前2/3味覚・顎下腺・舌下腺)→茎乳突孔から表情筋へ」と並べて覚える。
  • 関連知識: 角膜反射は求心路がV1眼神経、遠心路がVII顔面神経(眼輪筋)。同じ反射に関わるが支配領域は別、という点が混同されやすい。
  • よくある間違い: 「顔面神経=顔に関する全て」と拡大解釈しがち。顔面皮膚感覚も角膜知覚も三叉神経の担当。
  • 臨床応用: Bell麻痺では閉眼不全により角膜が外気に曝露され角膜潰瘍リスクが高まるため、人工涙液・就寝時のアイパッチで角膜保護を行う。
解説画像
鍼灸 第6回(1998) 問題29|顔面神経の分布部位でないのはどれか。 解説図
鍼灸 第6回(1998) 問題29|顔面神経の分布部位でないのはどれか。
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