学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ K. 腹膜 / Q0356

理由で解く 解剖学

Q0356 消化器系

出典:鍼灸 第21回(2013) 問題22
問題
間膜と付着部との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 肝冠状間膜 ─── 横隔膜
2 小網 ────── 脾臓
3 大網 ────── 空腸
4 腸間膜 ───── 腎臓
解答
正解1(肝冠状間膜 ─── 横隔膜)
解説
✓ 1. 正しい
肝冠状間膜 ─── 横隔膜
肝冠状間膜(冠状間膜)は、肝臓上面を覆った腹膜が横隔膜下面の腹膜に折り返して連続する部位にできる間膜で、肝臓の上面を横隔膜から吊り下げる働きをもつ。左右端は尖って左三角間膜・右三角間膜として終わり、冠状間膜の正中部で矢状方向の肝鎌状間膜が前腹壁・横隔膜下面へと連続する。肝鎌状間膜の自由縁には胎生期の臍静脈の遺残である肝円索(umbilical vein→肝門脈左枝に開口)があり、発生学的マーカーとしても重要である。このように肝冠状間膜は「肝臓上面と横隔膜下面をつなぐ腹膜反転」として定義され、「肝冠状間膜—横隔膜」の組合せは解剖学的に正確である。
✗ 2. 誤り
小網 ────── 脾臓
小網は肝臓の肝門と胃小弯(および十二指腸上部)をつなぐ間膜であり、脾臓には付着しない。小網は左側の肝胃間膜と右側の肝十二指腸間膜に分けられ、後者の自由縁には固有肝動脈・門脈・総胆管の三管が走行する。脾臓に付着する間膜は胃脾間膜(胃大弯→脾門)と脾腎間膜(脾門→左腎)である。
✗ 3. 誤り
大網 ────── 空腸
大網は胃の大弯から垂れ下がり、横行結腸の前面に癒合してエプロン状の前後4層構造を形成する間膜である。付着部は「胃大弯と横行結腸」であり、空腸ではない。空腸を含む空・回腸を後腹壁に吊るすのは小腸間膜(腸間膜)で、その根部はトライツ靭帯付近から右下腹部の回盲弁まで斜めに走る。
✗ 4. 誤り
腸間膜 ───── 腎臓
腸間膜(小腸間膜)は空腸・回腸を後腹壁に吊るす間膜で、腎臓には付着しない。腎臓はそもそも腹膜内臓器ではなく「腹膜後臓器」であり、直接腹膜に包まれず脂肪被膜(Gerota筋膜)内に埋まっているため、間膜による吊り下げ自体が存在しない。腎臓と腹膜の関係は薄いという点が腸間膜との根本的な違いとなる。
ポイント
  • 間膜は壁側腹膜と臓側腹膜が移行する二重の腹膜で、その間を血管・リンパ管・神経が通過する。各間膜は「起点→付着先」をセットで記憶するのが鉄則。
  • 覚え方のコツ: 「小網=肝門⇔胃小弯・十二指腸」「大網=胃大弯⇔横行結腸」「腸間膜=後腹壁⇔空・回腸」「冠状間膜=肝上面⇔横隔膜」の4大セットを一気に暗記。
  • 関連知識: 肝十二指腸間膜(小網右縁)の自由縁にはウィンスロー孔(網嚢孔)があり、これを通して網嚢(小腹膜腔)と大腹膜腔が連絡する。
  • よくある間違い: 小網を脾臓付着と誤る/大網を空腸に付着と誤る/腎臓を腸間膜付着と誤解する(腎臓は後腹膜でそもそも間膜なし)。
  • 臨床応用: 大網は「腹部の警察官」と呼ばれ、炎症部位に進み出て包み込むことで汎発性腹膜炎の進展を阻止する。虫垂炎・穿孔性消化性潰瘍でよく観察される。
比較表
間膜 起点(上・前) 付着先(下・後) 走行する主な構造
肝冠状間膜 肝上面 横隔膜下面 肝鎌状間膜・肝円索が連続
小網(肝胃・肝十二指腸間膜) 肝門 胃小弯・十二指腸上部 固有肝動脈・門脈・総胆管(肝十二指腸間膜)
大網 胃大弯 横行結腸前面 右胃大網動脈・左胃大網動脈
横行結腸間膜 後腹壁(膵前面) 横行結腸 中結腸動脈
腸間膜(小腸間膜) 後腹壁(L2左→右仙腸関節) 空腸・回腸 上腸間膜動脈・腸間膜リンパ節
胃脾間膜・脾腎間膜 胃大弯・脾門 脾門・左腎 短胃動脈・脾動静脈
解説画像
鍼灸 第21回(2013) 問題22|間膜と付着部との組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第21回(2013) 問題22|間膜と付着部との組合せで正しいのはどれか。
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