学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ H. 肝臓 / Q0338

理由で解く 解剖学

Q0338 消化器系

出典:あマ指 第24回(2016) 問題23
問題
肝臓について正しいのはどれか。
選択肢
1 肝鎌状間膜を臍動脈索が通る。
2 方形葉は胆嚢の右側にある。
3 肝門を肝静脈が通る。
4 無漿膜野に横隔膜が接する。
解答
正解4(無漿膜野に横隔膜が接する。)
解説
✗ 1. 誤り
肝鎌状間膜を臍動脈索が通る。
肝鎌状間膜の自由縁を通るのは臍動脈索ではなく「肝円索(臍静脈の遺残)」である。臍動脈索は膀胱尖から臍に向かう正中臍索(または外側臍索)として前腹壁の腹膜下にあり、肝鎌状間膜とは別構造である。
✗ 2. 誤り
方形葉は胆嚢の右側にある。
左右が逆。方形葉は肝下面H字状溝のうち胆嚢窩の「左側」(肝円索裂との間)に位置する。つまり方形葉は胆嚢の左側に接し、胆嚢の右側には右葉本体がある。
✗ 3. 誤り
肝門を肝静脈が通る。
肝門を通るのは固有肝動脈・門脈・肝管の3要素であり、肝静脈は肝門を通らない。肝静脈は肝後面から下大静脈に直接注ぎ、肝小葉の中心静脈を集めた流出路である。
✓ 4. 正しい
無漿膜野に横隔膜が接する。
無漿膜野(bare area)は肝後上面で冠状間膜の前後2葉の間に挟まれ、腹膜で覆われず横隔膜と結合組織で直接接着する領域である。ここでは漿膜(腹膜)が欠けるため肝は横隔膜に固定され、肝膿瘍・胆嚢穿孔などの感染が横隔膜を貫いて胸腔や心膜腔に波及する解剖学的経路となる。肝の位置保持にも重要な役割を果たす。
ポイント
  • 無漿膜野は肝後上面で冠状間膜の間にあり、横隔膜と結合組織で直接接着する「腹膜に覆われない」領域。
  • 覚え方のコツ: 「肝円索は鎌の下縁、臍動脈索は腹壁の正中」と覚える。鎌状間膜=肝、正中臍索=膀胱ルートと区別。
  • 関連知識: 肝の腹膜固定装置: 冠状間膜・左右三角間膜・肝鎌状間膜。これらと無漿膜野の組み合わせで肝臓は腹腔上部に安定保持される。
  • よくある間違い: 無漿膜野は「下面」ではなく「後上面」。肝下面には胆嚢窩・肝門・下大静脈溝などがあり、腹膜で覆われる領域である点と混同しない。
  • 臨床応用: 無漿膜野では腹膜に覆われないため、肝膿瘍や細菌感染が横隔膜を貫いて胸腔・心膜腔に直接波及しうる。右横隔膜下膿瘍・右胸水・膿胸などの合併症原因となる。
比較表
構造 内容 位置
肝鎌状間膜 自由縁に肝円索 肝前上面〜前腹壁・横隔膜
冠状間膜 前後2葉、間に無漿膜野 肝上面→横隔膜
肝十二指腸間膜 小網自由縁、肝門3要素 肝門〜十二指腸
無漿膜野 腹膜なし、横隔膜と直接接着 肝後上面
正中臍索 臍動脈索遺残 膀胱尖〜臍(前腹壁)
解説画像
あマ指 第24回(2016) 問題23|肝臓について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第24回(2016) 問題23|肝臓について正しいのはどれか。
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