学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ B. 口腔(歯・舌・唾液腺) / Q0270

理由で解く 解剖学

Q0270 消化器系

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題22
問題
唾液腺について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 耳下腺は顔面神経に貫かれる。
2 耳下腺管は口腔前庭に開口する。
3 舌下腺管は口腔底に開口する。
4 顎下腺の分泌には舌咽神経が関与する。
解答
正解4(顎下腺の分泌には舌咽神経が関与する。)
解説
✗ 1.
耳下腺は顔面神経に貫かれる。
✗ 正しい。 耳下腺は外耳道前方から下顎角に及ぶ最大の唾液腺で、その実質の中を顔面神経本幹が貫き、耳下腺神経叢を形成して側頭・頬骨・頬・下顎縁・頸枝の5枝に分かれる。記述は正しく、設問の誤答には該当しない。耳下腺腫瘍の手術では顔面神経損傷を避けることが最重要課題となる。
✗ 2.
耳下腺管は口腔前庭に開口する。
✗ 正しい。 耳下腺管(ステンセン管)は腺体前上部から出て咬筋の外側面を前方に走り、咬筋前縁で方向を転じて頬筋を貫き、上顎第2大臼歯に面する頬粘膜に開口する。開口部は歯列弓の外側=口腔前庭である。記述は正しく、設問の誤答には該当しない。
✗ 3.
舌下腺管は口腔底に開口する。
✗ 正しい。 舌下腺の導管(大舌下腺管バルトリン管および多数の小舌下腺管)は舌下小丘ないし舌下ヒダに開口する。舌下小丘も舌下ヒダも口腔底の粘膜構造であるため、「口腔底に開口する」という記述は正しく、設問の誤答には該当しない。
✓ 4. 誤り
顎下腺の分泌には舌咽神経が関与する。
顎下腺・舌下腺の分泌を担う副交感神経は顔面神経(Ⅶ)の鼓索神経が顎下神経節を介して支配する経路である。舌咽神経(Ⅸ)は耳神経節を介して耳下腺を支配するのみで、顎下腺・舌下腺の分泌には関与しない。したがって「顎下腺の分泌には舌咽神経が関与する」は事実として誤りであり、設問の「誤った記述はどれか」に対する正解となる。唾液腺3対と支配神経の対応を整理すると、耳下腺=Ⅸ(舌咽)→耳神経節、顎下腺・舌下腺=Ⅶ(顔面・鼓索神経)→顎下神経節となり、取り違えが頻出ポイントである。
ポイント
  • 顎下腺・舌下腺の分泌を担う副交感神経は顔面神経(鼓索神経)であり、舌咽神経は耳下腺のみを支配する。
  • 覚え方のコツ: 唾液腺と副交感支配は「耳下=舌咽(Ⅸ・耳神経節)/顎下・舌下=顔面(Ⅶ・顎下神経節)」と対で記憶。耳下だけが独立した支配である。
  • 関連知識: 耳下腺は漿液腺(サラサラ)、顎下腺・舌下腺は混合腺。舌下腺は粘液優位、顎下腺は漿液優位の混合腺。
  • よくある間違い: 顎下腺を舌咽神経支配と誤認/耳下腺を顔面神経支配と誤認(顔面神経は耳下腺を「貫く」だけで分泌支配ではない)。
  • 臨床応用: シェーグレン症候群では唾液腺全体の分泌が低下し口腔乾燥症を呈する。流行性耳下腺炎は耳下腺を腫脹させ、顔面神経との位置関係から咀嚼時痛を生じる。
比較表
唾液腺 副交感支配神経 経由する神経節 腺性格
耳下腺 舌咽神経(Ⅸ)・小錐体神経 耳神経節 漿液腺
顎下腺 顔面神経(Ⅶ)・鼓索神経 顎下神経節 混合腺(漿液優位)
舌下腺 顔面神経(Ⅶ)・鼓索神経 顎下神経節 混合腺(粘液優位)
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題22|唾液腺について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題22|唾液腺について誤っている記述はどれか。
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