学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ H. 肝臓 / Q0335

理由で解く 解剖学

Q0335 消化器系

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題21
問題
肝臓について正しい記述はどれか。
選択肢
1 肝静脈は肝門から出る。
2 肝鎌状間膜は方形葉の右側に位置する。
3 胎生期の静脈管は臍静脈血を下大静脈に導く。
4 中心静脈は小葉間静脈へ注ぐ。
解答
正解3(胎生期の静脈管は臍静脈血を下大静脈に導く。)
解説
✗ 1. 誤り
肝静脈は肝門から出る。
方向が逆。肝静脈は肝門から「入る」のではなく、肝臓後面の下大静脈溝から下大静脈に直接注ぐ。肝門を出入りするのは固有肝動脈・門脈・肝管であり、肝静脈は別系統の流出路である。
✗ 2. 誤り
肝鎌状間膜は方形葉の右側に位置する。
位置が逆。肝鎌状間膜は方形葉の「左側」(肝円索裂の上に張る間膜)に位置し、肝臓を右葉と左葉に区分する縦走する間膜である。方形葉は鎌状間膜より右側に位置し、胆嚢窩と肝円索裂に挟まれる。
✓ 3. 正しい
胎生期の静脈管は臍静脈血を下大静脈に導く。
胎生期の静脈管(アランチウス管)は臍静脈(胎盤からの酸素豊富な血液)を肝臓を経ずに下大静脈へ直接導くバイパスである。出生後に閉鎖して静脈管索となり、肝下面の尾状葉と左葉の間の静脈管索裂に痕跡を残す。同時期に臍静脈も閉鎖して肝円索となり、肝鎌状間膜の下縁を通る。
✗ 4. 誤り
中心静脈は小葉間静脈へ注ぐ。
方向が逆。中心静脈は肝小葉の出口側で、類洞からの血液を集め、小葉間静脈ではなく「肝静脈」に注ぐ。小葉間静脈は門脈の枝で類洞に流入する入口側で、血流方向は小葉間静脈→類洞→中心静脈→肝静脈である。
ポイント
  • 胎児循環の3大バイパス: 静脈管(臍静脈→下大静脈)・卵円孔(右房→左房)・動脈管(肺動脈→大動脈)。出生後に閉鎖し痕跡構造となる。
  • 覚え方のコツ: 「胎児は肝と肺をパスする」→静脈管で肝をスルー、動脈管で肺をスルー、卵円孔で左右をスルー。3つのシャントで胎盤血をすばやく全身に届ける。
  • 関連知識: 静脈管→静脈管索、臍静脈→肝円索、臍動脈→臍動脈索(正中臍索)、動脈管→動脈管索、卵円孔→卵円窩、と対応づけて覚える。
  • よくある間違い: 静脈管と臍静脈を混同しない。臍静脈は胎盤→肝門に入り、その一部が静脈管として下大静脈にバイパスする。出生後は臍静脈→肝円索、静脈管→静脈管索と別々の遺残構造になる。
  • 臨床応用: 門脈圧亢進症では閉鎖した臍静脈(肝円索内)が再開通し、腹壁皮静脈を介して側副路となりメデューサの頭(caput medusae)を形成する。
比較表
胎児期構造 機能 出生後の遺残
臍静脈 胎盤→肝門へ酸素血 肝円索(鎌状間膜下縁)
静脈管 臍静脈血を下大静脈へ 静脈管索(尾状葉の後ろ)
卵円孔 右房→左房の短絡 卵円窩
動脈管 肺動脈→大動脈の短絡 動脈管索
臍動脈 胎児→胎盤へ静脈血 正中・外側臍索
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題21|肝臓について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題21|肝臓について正しい記述はどれか。
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