学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0245

理由で解く 解剖学

Q0245 呼吸器系

出典:あマ指 第4回(1996) 問題22
問題
肺について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 左肺は3 葉に分かれる。
2 肺尖は頸部に達する。
3 心圧痕は両肺にある。
4 肺底は横隔膜に接する。
解答
正解1(左肺は3 葉に分かれる。)
解説
✓ 1. 誤り
左肺は3 葉に分かれる。
左肺は3葉ではなく2葉(上葉・下葉)に分かれる。3葉に分かれるのは右肺(上・中・下葉)である。左肺は心臓が胸腔の左側へ偏って存在するため右肺より小さく、中葉に相当する部位は左上葉の下部に「舌区(舌状部)」として組み込まれており、独立した葉は形成しない。左肺の容積は約1,000ml、重さは約500gで、右肺の約1,200ml・約600gより一回り小さい。
✗ 2.
肺尖は頸部に達する。
✗ 正しい。 肺尖は鎖骨の上方2〜3cmに達し、頸部下端のいわゆる胸膜頂に位置する。解剖学的には胸郭上口を越えて頸部に突出しており、体表では大鎖骨上窩の奥に触れる。そのためこの部位の穿刺や鎖骨上窩の外傷では気胸を起こしやすい。
✗ 3.
心圧痕は両肺にある。
✗ 正しい。 心臓は胸腔の正中よりやや左側に偏位しているため心圧痕は左肺で深く明瞭だが、右肺内側面にも軽度の心圧痕が存在する。左肺では心切痕と呼ばれる切れ込みを上葉前縁に形成する一方、右肺は相対的に圧痕が浅く、両肺に心臓との接触による圧痕が認められる。
✗ 4.
肺底は横隔膜に接する。
✗ 正しい。 肺底は肺の下面にあたり、ドーム状に盛り上がった横隔膜の上面に乗る形で密接している。横隔膜の上下運動がそのまま肺底を押し引きして呼吸運動を駆動するため、横隔膜との接触面が広く凹面を形成する点は呼吸機構上きわめて重要である。
ポイント
  • 肺葉の数は右肺3葉(上・中・下)、左肺2葉(上・下)。左肺は心臓の存在で小さく、中葉に相当する部分は左上葉下部の舌区として存在する。
  • 覚え方のコツ: 「右3・左2」で葉数暗記。肺の位置は「上は鎖骨より上、下は横隔膜の上」=「肺尖は空へ、肺底は床へ」とイメージ。左肺は心臓が近いから小さい「心=左」で連想。
  • 関連知識: 肺の裂は右肺には水平裂と斜裂、左肺には斜裂のみ。水平裂は右肺の上葉と中葉を、斜裂は上・中葉と下葉を分ける。右肺容積約1,200ml、左肺約1,000ml。
  • よくある間違い: 右肺と左肺の葉数を逆にする/肺尖の到達高さを鎖骨と同じ、あるいは鎖骨下と誤認する/心圧痕を左肺のみと決めつける/舌区を独立した中葉と混同する。
  • 臨床応用: 肺尖が頸部まで突出しているため、鎖骨上窩への深い針刺や頸部外傷、中心静脈穿刺(内頸静脈・鎖骨下静脈)は気胸のリスクとなる。肺尖部に好発するパンコースト腫瘍は腕神経叢・星状神経節を浸潤しホルネル症候群や上肢痛を来す。
比較表
部位 位置・範囲 隣接構造
肺尖 鎖骨上方2〜3cm(胸郭上口を越える) 大鎖骨上窩・腕神経叢・鎖骨下動静脈
肺底 肺の下面・凹面 横隔膜上面
内側面 縦隔に面する 心臓・大血管・気管支
肋骨面 胸壁側を向く凸面 肋骨・肋間筋
解説画像
あマ指 第4回(1996) 問題22|肺について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第4回(1996) 問題22|肺について誤っている記述はどれか。
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