
この図の解説
図は、太めのリンパ管を縦に切り開き、内腔にできた弁のはたらきを3コマで示している。左は弁が閉じかけた状態、中央と右は弁尖に矢印が当たって流れの向きが決まる様子を表す。ここで見るべきは、弁尖が下流(心臓側)へ向かって開き、逆向きの流れではぴたりと閉じる点である。太めのリンパ管の壁は内膜・中膜・外膜の3層からなって静脈壁とよく似ており、その内腔には静脈と同じく弁が発達してリンパの逆流を防いでいる。リンパ系には心臓のようなポンプがないため、この逆流防止弁を利用し、周囲を走る動脈の拍動や骨格筋の筋ポンプ作用によるマッサージ効果という外からの力を受けて、リンパを一方向へ還流させている。さらに図の解説文が強調するように、リンパ管はこうした外圧に頼るだけでなく、みずからの中膜にある平滑筋によって自発的に収縮し、能動的にリンパ液を先へ送り出している。このリンパ管が自ら収縮してリンパを運ぶ仕組みを「リンパの能動輸送」と呼ぶ。
学習の要点
- 太めのリンパ管は内膜・中膜・外膜の3層からなり静脈壁に類似し、内腔には弁が発達して逆流を防ぐ。
- リンパを進める力は2種類: 動脈拍動や筋ポンプによる外からのマッサージ効果(受動的)に加え、リンパ管自身が中膜の平滑筋で自発収縮する「リンパの能動輸送」がある。
- 覚え方のコツ: 「リンパ管の弁=静脈の弁のコピー」。壁の3層構造も弁も静脈にそっくり、と静脈とセットで覚える。
- 関連知識: 毛細リンパ管は先端が閉じた盲端で、単層扁平上皮の内皮と発達の悪い基底膜からなり、太めのリンパ管とは構造が異なる。
- よくある間違い: 弁があるのは太めのリンパ管であって毛細リンパ管ではない。毛細リンパ管に3層構造や弁はない。
- 臨床応用: 弁と筋ポンプによる還流が破綻するとリンパがうっ滞し、リンパ浮腫を生じうる。徒手リンパドレナージはこのマッサージ効果を人為的に補う手技である。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
太めのリンパ管の壁は、静脈壁と類似して内膜・( )・外膜の3層からなる。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 中膜
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。