学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ C. 動脈系 / Q0135

理由で解く 解剖学

Q0135 循環器系

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題25
問題
腹大動脈から起こる枝について正しい記述はどれか。
選択肢
1 腹腔動脈は脾臓を養う。
2 腎動脈は第4 腰椎の高さで起こる。
3 下腸間膜動脈は回腸を養う。
4 精巣動脈は鼡径靱帯の深層を通る。
解答
正解1(腹腔動脈は脾臓を養う。)
解説
✓ 1. 正しい
腹腔動脈は脾臓を養う。
腹腔動脈は横隔膜を貫通した直後の腹大動脈前面から起こる無対性の臓側枝で、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈の3枝に分かれる。このうち脾動脈は膵臓上縁を左方へ蛇行して脾門に入り、脾臓を直接養う。腹腔動脈3分枝は前腸由来臓器(胃・十二指腸上部・肝・胆嚢・膵・脾)を包括的に灌流する。
✗ 2. 誤り
腎動脈は第4 腰椎の高さで起こる。
腎動脈は第1~2腰椎の高さ(およそ上腸間膜動脈起始部直下)で、腹大動脈の両側面から左右1対で起こる。第4腰椎の高さは腹大動脈の終末部(左右総腸骨動脈への分岐部)にあたり、腎動脈起始部ではない。
✗ 3. 誤り
下腸間膜動脈は回腸を養う。
下腸間膜動脈は後腸由来臓器(横行結腸左1/3・下行結腸・S状結腸・直腸上部)を養う。回腸は中腸由来で、上腸間膜動脈の回腸動脈枝により灌流される。部位を混同しやすい典型選択肢である。
✗ 4. 誤り
精巣動脈は鼡径靱帯の深層を通る。
精巣動脈は腹大動脈から起こり後腹膜を下行し、鼠径管(inguinal canal)を通って精索に包まれて精巣に達する。鼠径管は鼠径靱帯の「上方(腹壁の壁側)」にある筋膜のトンネルで、鼠径靱帯の深層(下方)を通るわけではない。なお鼠径靱帯の下(血管裂孔・筋裂孔)を通るのは大腿動静脈・大腿神経・腸腰筋である。
ポイント
  • 腹大動脈の高位分枝は近位から腹腔動脈(T12)・上腸間膜動脈(L1)・腎動脈(L1-2)・下腸間膜動脈(L3)・総腸骨動脈(L4)の順。
  • 覚え方のコツ: 「腹部3大無対動脈は縦に並ぶ:腹腔→上腸間膜→下腸間膜」。T12、L1、L3と覚える。
  • 関連知識: 精巣動脈は鼠径管(上ルート)、大腿動脈は鼠径靱帯の下(下ルート)と、鼠径部の通路を明確に区別する。
  • よくある間違い: 腎動脈を「L4の高さ」と誤る。L4は腹大動脈の終止高。
  • 臨床応用: 腹部大動脈瘤の切迫破裂では腹部拍動性腫瘤と背部痛が出現し、破裂すると後腹膜血腫と急速なショックに至る。
比較表
起始部位 分枝
T12(腹大動脈起始直下) 腹腔動脈(無対)
L1 上腸間膜動脈(無対)、腎動脈(有対)、副腎動脈
L2付近 精巣/卵巣動脈(有対)
L3 下腸間膜動脈(無対)
L4 左右総腸骨動脈への分岐
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題25|腹大動脈から起こる枝について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題25|腹大動脈から起こる枝について正しい記述はどれか。
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