学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P104

理由で解く 柔道整復師

QJ34P104 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問104
問題
23歳の男性。スケートボードの練習中、右手で体重を支持するよう・な動作をすると、手関節の尺側部に痛みを自覚したため来所した。半年前に右橈骨遠位端を骨折し、医科にて保存療法を受け、若干の背屈転位が残存するも治癒との診断を1か月前に受けた既往がある。握力の低下はなく、手部の筋萎縮や自発性感覚異常もみられない。考えられるのはどれか。
選択肢
1 三角線維軟骨複合体損傷
2 橈骨神経障害
3 反射性交感神経性ジストロフィー
4 月状骨軟化症
解答
正解1(三角線維軟骨複合体損傷)
解説

橈骨遠位端骨折後に背屈転位が残り、体重を支持する動作で手関節尺側が痛む——この組合せは三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷を強く示唆します。

橈骨遠位端が背屈転位したまま癒合すると、橈骨の長さが相対的に短くなり、尺骨頭が手根骨側へ突き出た状態(尺骨プラス変異)になります。すると手関節の尺側にあるTFCCが常に圧迫され、そこへ体重支持や前腕の回旋が加わるたびに負荷が集中します。この症例のように、骨折の治癒後しばらくしてから尺側部痛が出てくる経過は典型的です。鑑別を進めるうえで有用なのが「ないもの」の情報です。握力低下がないこと、手部の筋萎縮がないこと、自発的な感覚異常がないことは、神経障害や月状骨軟化症、複合性局所疼痛症候群を積極的には支持しません。痛みの部位が尺側に限局している点と合わせて、TFCC損傷に絞り込めます。

✓ 1. 正しい
三角線維軟骨複合体損傷
橈骨遠位端の背屈転位残存により尺骨が相対的に突き上げる形となり、TFCCへの負荷が増します。手を突く動作や前腕回旋で尺側部痛が誘発される点も合致します。尺屈+軸圧での疼痛誘発を確認し、症状が続く場合は画像評価のため医師へ紹介します。
✗ 2. 誤り
橈骨神経障害
橈骨神経の障害であれば手背橈側の感覚異常や伸展の筋力低下が問題になります。本例は自発性感覚異常がなく、痛みも尺側に限局しており合致しません。
✗ 3. 誤り
反射性交感神経性ジストロフィー
橈骨遠位端骨折後の合併症として重要ですが、持続する強い疼痛、腫脹、皮膚の色調・発汗の変化、広範な可動域制限などを伴います。本例はこれらの記載がなく、動作時に限局した痛みが出るのみで、像が異なります。
✗ 4. 誤り
月状骨軟化症
月状骨軟化症(キーンベック病)では手関節中央(背側の月状骨部)の痛みと、握力低下・可動域制限が前面に出ます。本例は握力低下がなく、痛みの部位も尺側であるため合致しません。
ポイント
  • 橈骨遠位端骨折の背屈転位残存→橈骨が相対的に短縮→尺骨突き上げ→TFCCへの負荷増大、という因果で覚える。
  • TFCC損傷の痛みは手関節尺側。手を突く動作、前腕回旋、尺屈+軸圧で誘発される。
  • 「握力低下なし・筋萎縮なし・自発性感覚異常なし」は、神経障害・キーンベック病・CRPSを積極的に支持しない情報。
  • 症例問題では、記載されていない所見(陰性所見)が鑑別の決め手になることが多い。
  • 対応は尺側への軸圧負荷を減らす動作指導と固定・サポーター。症状が続く例は画像評価のため医師へ紹介する。
比較表
疾患痛みの部位随伴所見本例との一致
TFCC損傷手関節尺側回旋・軸圧で誘発、握力は保たれることが多い一致する
橈骨神経障害前腕背側・手背橈側感覚異常、伸展筋力低下感覚異常なしで不一致
反射性交感神経性ジストロフィー手全体持続痛、腫脹、皮膚変化、可動域制限所見が乏しく不一致
月状骨軟化症手関節中央(背側)握力低下、可動域制限握力低下なしで不一致
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