学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ34P097

理由で解く 柔道整復師

QJ34P097 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問97
問題
後骨間神経障害で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘内側部に疼痛が生じる。
2 円回内筋での絞扼によって生じる。
3 前腕の過度な回外動作によって生じる。
4 下垂手が生じる。
解答
正解3(前腕の過度な回外動作によって生じる。)
解説

後骨間神経は回外筋を貫くところで絞扼されるため、前腕の過度な回外動作の反復が誘因になります。3が正しい記述です。

後骨間神経は橈骨神経深枝が回外筋を貫いた以降の枝で、運動線維だけを含みます。回外筋の入口にある腱様の縁(フローセのアーケード)が絞扼部位となり、回内・回外を繰り返す作業やスポーツで回外筋が肥厚すると発症します。支配するのは総指伸筋・小指伸筋・尺側手根伸筋・長母指外転筋・長短母指伸筋など指の伸筋群で、麻痺するとMP関節が伸展できない下垂指(drop finger)になります。手関節の背屈は、より近位で分岐する長・短橈側手根伸筋が担うため保たれ、感覚枝を含まないのでしびれや感覚脱失も生じません。この「手関節背屈は可能・指のMP伸展が不能・感覚障害なし」という組み合わせが、上腕レベルの橈骨神経麻痺(下垂手)との決定的な違いです。

✓ 3. 正しい
前腕の過度な回外動作によって生じる。
回外筋の反復使用で筋が肥厚し、フローセのアーケードで神経が絞扼されます。ドライバーを使う作業やラケット競技など、前腕の回内・回外を繰り返す動作が誘因になります。対応は誘因となる動作の一時中止、局所の安静、回外筋のストレッチなどです。
✗ 1. 誤り
肘内側部に疼痛が生じる。
疼痛は肘外側から前腕近位背側(回外筋部)に出ます。肘内側の疼痛と小指側のしびれは尺骨神経の絞扼(肘部管症候群)で問題になる所見です。
✗ 2. 誤り
円回内筋での絞扼によって生じる。
円回内筋部で絞扼されるのは正中神経(円回内筋症候群)です。後骨間神経の絞扼部位は回外筋のフローセのアーケードで、絞扼する筋と神経の組み合わせが取り違えられています。
✗ 4. 誤り
下垂手が生じる。
下垂手は上腕レベルでの橈骨神経麻痺(手関節も背屈できない)で生じます。後骨間神経障害では長・短橈側手根伸筋への枝がより近位で分岐しているため手関節背屈は保たれ、指のMP関節が伸展できない下垂指となります。
ポイント
  • 後骨間神経=橈骨神経深枝が回外筋を貫いた後の枝。運動枝のみで感覚障害は生じない。
  • 絞扼部位は回外筋のフローセのアーケード。誘因は回内・回外の反復(過度な回外動作)。
  • 症状は下垂指(MP関節伸展不能)。手関節背屈は保たれる。
  • 下垂手は上腕レベルの橈骨神経麻痺。手関節も背屈できず、感覚障害も伴う。
  • 円回内筋で絞扼されるのは正中神経、肘部管で絞扼されるのは尺骨神経。
比較表
橈骨神経麻痺(上腕レベル)後骨間神経障害
絞扼・障害部位上腕骨骨幹部(橈骨神経溝)など回外筋(フローセのアーケード)
手関節背屈不能(下垂手)可能
MP関節伸展不能不能(下垂指)
感覚障害あり(手背橈側)なし
疼痛部位特定しにくい肘外側〜前腕近位背側
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