学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ34P086

理由で解く 柔道整復師

QJ34P086 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問86
問題
肩関節前方脱臼後の筋力増強運動で適切でないのはどれか。
選択肢
1 屈曲
2 水平伸展
3 内転
4 内旋
解答
正解2(水平伸展)
解説

肩関節前方脱臼の後に水平伸展の筋力増強運動を行うのは適切でない。この方向は前方の関節包・関節唇を伸ばし、再脱臼を招く肢位に重なるためである。

肩関節前方脱臼は、上腕骨頭が前下方へ押し出されて起こる。骨頭を前へ押し出す肢位は外転・外旋・水平伸展(水平外転)の組合せであり、この方向は損傷した前方の関節包、関節上腕靱帯、関節唇にそのまま張力をかける。修復途上の組織を繰り返し伸ばせば、緩んだまま治って不安定性が残り、再脱臼につながる。したがって後療では、まずこの危険肢位を避けたうえで、骨頭を関節窩に引きつける方向に働く筋を鍛えるのが原則になる。具体的には、肩甲下筋を中心とした内旋、大胸筋・広背筋・大円筋による内転、そして体幹の前で行う屈曲方向の運動を、疼痛のない範囲から段階的に進める。回旋筋腱板と肩甲骨周囲筋の協調が戻ってきたら、外旋や外転の範囲を医師と相談しながら少しずつ広げ、最後にスポーツ動作へつなげる。

✓ 2. これが適切でない(正答)
水平伸展
水平伸展は前方の関節包・関節唇を伸張し、外転・外旋と合わさると再脱臼肢位そのものになる。初期には避け、内旋・内転など前方を守る方向から始める。
✗ 1. 適切(答えではない)
屈曲
体幹の前で行う挙上方向であり、前方組織を過度に伸ばさない。疼痛のない範囲から可動域と筋力を戻していける。
✗ 3. 適切(答えではない)
内転
大胸筋・広背筋・大円筋を働かせる方向で、骨頭を関節窩へ引きつける作用がある。安全に進めやすい。
✗ 4. 適切(答えではない)
内旋
肩甲下筋は前方から骨頭を押さえる腱板筋である。内旋筋の強化は前方の安定性向上に直結する。
ポイント
  • 肩関節前方脱臼の再脱臼肢位は「外転・外旋・水平伸展」。この 3 つを合言葉にする。
  • 後療では危険肢位を避け、内旋・内転・屈曲方向から段階的に筋力を戻す。
  • 肩甲下筋(内旋)は前方から骨頭を押さえるため、前方不安定性の制御に重要。
  • 外旋・外転の範囲は、組織の修復状況をみながら医師と相談して少しずつ拡大する。
  • 日常でも「腕を後ろに回して物を取る」動作が水平伸展にあたることを伝え、代わりの動き方を具体的に示す。
比較表
運動方向理由
初期に進める内旋、内転、屈曲骨頭を関節窩へ引きつけ、前方組織を伸ばさない
初期は避ける水平伸展、外旋、外転(特に組合せ)前方関節包・関節唇に張力がかかり再脱臼肢位となる
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。