学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ34P080

理由で解く 柔道整復師

QJ34P080 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問80
問題
野球バットのグリップエンドに手掌部が衝突することで生じるのはどれか。
選択肢
1 三角骨骨折
2 有鈎骨骨折
3 月状骨骨折
4 大菱形骨骨折
解答
正解2(有鈎骨骨折)
解説

バットのグリップエンドが手掌の小指球寄りに突き当たることで折れるのは有鈎骨、なかでも掌側に突出する鈎の部分である。

有鈎骨の鈎は手掌の尺側、豆状骨のやや遠位橈側に掌側へ突き出している。野球のバット、ゴルフクラブ、テニスラケットなどのグリップエンドがちょうどこの高さで手掌に食い込むため、スイング時や空振り・地面を叩いた際に直達外力が加わって鈎が折れる。症状は握力低下と、鈎の直上を押したときの限局性圧痛、握る動作での疼痛である。鈎のすぐ隣を尺骨神経が走るため、小指と環指尺側のしびれや骨間筋の筋力低下を伴うことがあり、深部の屈筋腱が擦れて断裂することもある。通常の手関節正面像では鈎が重なって写りにくく見逃されやすいので、スポーツ歴と圧痛部位が合えば、専用の撮影方向や CT が可能な医療機関へ紹介する。放置すると偽関節になりやすい点も押さえておく。

✓ 2. 正しい
有鈎骨骨折
掌側に突出する有鈎骨鈎にグリップエンドが直接当たって折れる。握力低下、鈎直上の限局性圧痛が特徴で、尺骨神経障害を伴うことがある。
✗ 1. 誤り
三角骨骨折
手関節の背屈強制で背側の骨片が剥がれる形が多く、手掌へ突き当たる外力で生じる骨折ではない。
✗ 3. 誤り
月状骨骨折
手関節背屈位で手をついた際の軸圧が主な機転で、手根骨の中央に位置するためグリップエンドが直接当たる部位ではない。
✗ 4. 誤り
大菱形骨骨折
母指列の基部にあり、母指方向からの軸圧や橈側への直達外力で損傷する。小指球側に当たる外力とは部位が異なる。
ポイント
  • 有鈎骨鈎骨折はバット・クラブ・ラケットのグリップエンドが手掌尺側に突き当たる直達外力で生じる。
  • 所見は握力低下、有鈎骨鈎直上の限局性圧痛、握り動作での疼痛。
  • 近接する尺骨神経の障害(小指・環指尺側のしびれ、骨間筋の筋力低下)や屈筋腱損傷を合併しうる。
  • 通常の正面像では骨が重なって写りにくく見逃されやすい。偽関節になりやすい点も要注意。
  • スポーツ歴と圧痛部位が合致すれば、専用の撮影や CT が可能な医療機関へ紹介する。
比較表
手根骨典型的な受傷機転手掛かりとなる所見
有鈎骨(鈎)グリップエンドが手掌尺側に衝突握力低下、鈎直上の圧痛、尺骨神経症状
三角骨手関節の背屈強制手関節背側尺側の圧痛
月状骨背屈位で手をついた際の軸圧手関節中央部の圧痛、キーンベック病との関連
大菱形骨母指方向からの軸圧・橈側への直達外力母指基部の圧痛、母指運動時痛
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