学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ34P077

理由で解く 柔道整復師

QJ34P077 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問77
問題
肩甲骨骨折で肩関節前方脱臼と外観が類似するのはどれか。
選択肢
1 骨体部骨折
2 上角骨折
3 頸部骨折
4 肩峰骨折
解答
正解3(頸部骨折)
解説

肩甲骨頸部骨折は、肩関節前方脱臼と外観が似る。関節窩を含む骨片が上肢とともに下がり、肩峰が突出して三角筋部の膨隆が失われるためである。

肩甲骨頸部は関節窩のすぐ内側のくびれた部分で、ここが折れると関節窩の骨片が上腕骨とつながったまま下方・前内方へずれる。すると肩の丸みをつくっていた骨頭の位置が下がり、外から見て三角筋部の膨隆が消え、代わりに肩峰が角張って突出する。これは肩関節前方脱臼で典型的にみられる外観とほぼ同じであり、見た目だけでは区別できない。鑑別の手掛かりは動きと触診にある。脱臼では骨頭が関節窩から外れて引っかかるため弾発性固定を示し、他動運動をさせるとばねのように戻る。頸部骨折では弾発性固定がなく、他動運動は可能だが疼痛が強く、骨折部に限局性の圧痛と軋轢音がある。また脱臼では烏口突起下などに骨頭を触れる。判断に迷う場合は無理に整復操作を行わず、上肢を体幹に保持して固定し、画像診断のできる医療機関へ紹介する。

✓ 3. 正しい
頸部骨折
関節窩を含む骨片が上腕骨とともに下方へ転位するため、三角筋部の膨隆が消え肩峰が突出し、前方脱臼と似た外観になる。弾発性固定の有無と骨折部の圧痛・軋轢音で見分ける。
✗ 1. 誤り
骨体部骨折
骨体部は厚い筋層に包まれ、転位も大きくなりにくいため、肩の輪郭が大きく変わることはない。
✗ 2. 誤り
上角骨折
上角は肩甲挙筋の付着部で、肩関節の位置関係には影響しない。局所の圧痛が主体で、脱臼様の外観にはならない。
✗ 4. 誤り
肩峰骨折
肩峰部に限局した圧痛や軽度の陥凹はみられるが、上腕骨頭の位置は保たれるため、三角筋部の膨隆が消える所見にはならない。
ポイント
  • 肩甲骨頸部骨折では関節窩の骨片が上肢とともに下がり、三角筋部の膨隆消失と肩峰突出という前方脱臼類似の外観を呈する。
  • 鑑別の決め手は弾発性固定の有無。脱臼はあり、骨折はない。
  • 骨折では骨折部に限局性圧痛と軋轢音があり、脱臼では骨頭を関節窩外(烏口突起下など)に触れる。
  • 骨体部・上角・肩峰の骨折は肩の輪郭を大きく変えず、外観からは脱臼と紛れない。
  • 判断に迷えば整復操作を行わず、上肢を体幹に保持して固定し医療機関へ紹介する。
比較表
肩甲骨頸部骨折肩関節前方脱臼
外観三角筋部の膨隆消失、肩峰突出三角筋部の膨隆消失、肩峰突出
弾発性固定なし(他動運動は可能)あり
骨頭の位置関節窩とともに下がる烏口突起下などに触れる
局所所見骨折部の限局性圧痛・軋轢音関節窩の空虚感
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