学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ34P078

理由で解く 柔道整復師

QJ34P078 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問78
問題
上腕骨骨幹部骨折で神経損傷が合併した場合に障害されないのはどれか。
選択肢
1 長母指外転筋
2 短母指外転筋
3 橈側手根伸筋
4 尺側手根伸筋
解答
正解2(短母指外転筋)
解説

上腕骨骨幹部骨折で問題になる神経は橈骨神経である。短母指外転筋は正中神経支配なので、橈骨神経麻痺では障害されない。

橈骨神経は上腕骨の後面を橈骨神経溝に沿って外下方へ回り込むため、骨幹部中央から遠位 1/3 の骨折で骨片や腫脹の影響を受けやすい。麻痺すると前腕の伸筋群が働かなくなり、手関節と手指 MP 関節の伸展ができない下垂手を呈する。母指では、外転のうち橈骨神経が担うのは長母指外転筋による橈側外転であり、これは失われる。一方、母指を手掌面から垂直に持ち上げる掌側外転を担う短母指外転筋は正中神経(反回枝)支配で、橈骨神経麻痺では保たれる。ここが本問の分かれ目である。麻痺を認めたら、手関節を軽度背屈位に保つ装具などで手指の拘縮と腱の過伸長を防ぎつつ、可動域を保つ他動運動を行い、経過を医師と共有する。

✓ 2. 障害されない(正答)
短母指外転筋
短母指外転筋は正中神経の反回枝支配である。橈骨神経麻痺では働きが保たれ、母指の掌側外転は可能である。
✗ 1. 障害される(答えではない)
長母指外転筋
橈骨神経(後骨間神経)支配の前腕伸筋群に属する。麻痺すると母指の橈側外転が困難になる。
✗ 3. 障害される(答えではない)
橈側手根伸筋
長・短ともに橈骨神経支配。麻痺により手関節の背屈が失われ、下垂手の主因となる。
✗ 4. 障害される(答えではない)
尺側手根伸筋
名称に「尺側」とあるが後骨間神経(橈骨神経)支配である。尺骨神経支配なのは尺側手根「屈」筋であり、ここを取り違えないようにする。
ポイント
  • 上腕骨骨幹部骨折で合併しやすいのは橈骨神経麻痺。骨幹部後面の橈骨神経溝を走行するため。
  • 前腕伸筋群はすべて橈骨神経(本幹・後骨間神経)支配。手関節・MP 関節の伸展が失われ下垂手となる。
  • 短母指外転筋は正中神経(反回枝)支配なので橈骨神経麻痺では保たれる。「短母指外転筋=正中」と固定して覚える。
  • 尺側手根「伸」筋は橈骨神経、尺側手根「屈」筋は尺骨神経。伸・屈の一字で支配が変わる。
  • 麻痺を認めたら手関節を軽度背屈位に保持して拘縮を防ぎ、他動運動で可動域を維持しつつ医師と経過を共有する。
比較表
支配神経橈骨神経麻痺での可否
長母指外転筋橈骨神経(後骨間神経)障害される
短母指外転筋正中神経(反回枝)保たれる
長・短橈側手根伸筋橈骨神経障害される
尺側手根伸筋橈骨神経(後骨間神経)障害される
尺側手根屈筋尺骨神経保たれる
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