学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ34P075

理由で解く 柔道整復師

QJ34P075 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問75
問題
胸骨骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 ハンドル損傷で発生する。
2 胸骨剣結合部骨折では剣状突起は胸骨体の前方に転位する。
3 胸壁動揺があれば重篤である。
4 心臓しんとうの合併は予後不良である。
解答
正解2(胸骨剣結合部骨折では剣状突起は胸骨体の前方に転位する。)
解説

胸骨剣結合部の骨折では、剣状突起は胸骨体の後方(背側)へ転位する。腹直筋と横隔膜に後下方へ引かれるためである。

胸骨骨折の多くは、交通事故でハンドルや前席背面に胸部を強打する直達外力で起こる。剣状突起には腹直筋が付着し、横隔膜の一部も付く。胸骨体との結合部が折れると、剣状突起はこれらの牽引を受けて胸骨体の後方へ入り込むように転位する。したがって前方へ突出するという記述は方向が逆になる。胸骨骨折で重要なのは骨そのものよりも中身であり、直下には心臓・大血管・気管があるため、心臓振盪や心挫傷、大血管損傷を合併しうる。多発肋骨骨折を伴って胸壁が分節化すると、吸気時に陥凹し呼気時に膨隆する奇異呼吸(胸壁動揺、フレイルチェスト)を呈し換気が破綻する。胸部を強打した患者では、呼吸状態、脈拍、皮膚色、意識を確認し、動揺や不整脈を疑う所見があれば固定にこだわらず直ちに救急要請する。

✓ 2. これが誤り(正答)
胸骨剣結合部骨折では剣状突起は胸骨体の前方に転位する。
剣状突起には腹直筋と横隔膜が付着し、後下方へ引かれる。したがって転位は胸骨体の後方(背側)へ向かい、前方ではない。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
ハンドル損傷で発生する。
交通事故で胸部をハンドルに強打する直達外力は、胸骨骨折の代表的な受傷機転である。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
胸壁動揺があれば重篤である。
胸壁が分節化して奇異呼吸を呈する状態は換気が成り立たず、呼吸不全に直結する。直ちに救急搬送する。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
心臓しんとうの合併は予後不良である。
前胸部への衝撃が心周期の特定のタイミングで加わると致死性不整脈を起こす。反応がなければ直ちに心肺蘇生と AED を実施する。
ポイント
  • 剣状突起は腹直筋・横隔膜に引かれ、胸骨体の後方へ転位する。「腹側の筋が引く=後ろへ入る」と方向で覚える。
  • 受傷機転はハンドル外傷など前胸部への直達外力が代表的。
  • 骨よりも内部臓器の合併損傷が重要。心臓振盪、心挫傷、大血管損傷、肺挫傷に注意する。
  • 胸壁動揺(奇異呼吸)は換気破綻を意味し、緊急搬送の適応。
  • 前胸部強打後に反応がない場合は、直ちに心肺蘇生と AED を実施する。
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