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理由で解く 柔道整復師

QJ34P025 一般臨床医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問25
問題
重症うっ血性心不全でみられる姿勢はどれか。
選択肢
1 起坐位
2 仰臥位
3 エビ姿勢
4 後弓反張
解答
正解1(起坐位)
解説

重症のうっ血性心不全では、横になると呼吸困難が強まり、上体を起こすと楽になる。この起坐呼吸のためにとる姿勢が起坐位である。

仰臥位になると、下肢や腹部にたまっていた血液が心臓へ戻りやすくなって静脈還流が増え、さらに腹部臓器に押し上げられて横隔膜が挙上する。左心のポンプ機能が落ちている心不全では増えた還流をさばききれず、肺静脈圧が上がって肺うっ血・肺水腫が悪化するため、呼吸困難が強まる。上体を起こすと重力で下半身に血液がとどまって静脈還流が減り、横隔膜も下がって肺が広がりやすくなるので症状が和らぐ。この体位を患者自身が選び取る状態が起坐呼吸で、就寝後しばらくして呼吸困難で目が覚める発作性夜間呼吸困難とともに、左心不全の代表的な症候である。施術中にこうした訴えが出たら臥位での施術をいったんやめ、起坐位のまま安静を保ち、呼吸数・脈拍・顔色・冷汗を確かめながら速やかに医療機関受診または救急要請につなげる。

✓ 1. 正しい
起坐位
上体を起こすと静脈還流が減り横隔膜が下降するため、肺うっ血による呼吸困難が軽くなる。重症うっ血性心不全のほか、気管支喘息の発作時にもみられる姿勢である。
✗ 2. 誤り
仰臥位
心不全ではむしろ症状が悪化する体位である。静脈還流が増えて肺うっ血が強まるため、患者は自ら仰臥位を避けて上体を起こす。「横になれない」こと自体が重症度を示す情報になる。
✗ 3. 誤り
エビ姿勢
側臥位で頸部はやや後屈し、股関節・膝関節を屈曲して丸くなる姿勢。髄膜炎でみられ、下肢を屈曲することで髄膜・神経根への伸展を避けている(頸部を前屈させるとかえって抵抗と疼痛が生じる。これが項部硬直・ブルジンスキー徴候であり、頭部はむしろ後方へ反る)。急性膵炎などで上腹部痛を逃がすためにとる前かがみ(胸膝位)も含め、いずれも痛みを軽くするための姿勢であって、呼吸を楽にする姿勢ではない。
✗ 4. 誤り
後弓反張
背中が弓なりに反り返る姿勢で、破傷風や重症の髄膜炎など全身の伸筋が持続的に収縮する病態でみられる。本人が楽になるために選ぶ体位ではなく強直の結果であり、心不全とは関係しない。
ポイント
  • 起坐呼吸=臥位で呼吸困難が増し、座位で軽減する。左心不全(肺うっ血)の代表的症候。
  • 機序は「臥位で静脈還流増加+横隔膜挙上 → 肺静脈圧上昇 → 肺うっ血悪化」。起坐位はこの逆をたどるので楽になる。
  • 左心不全では発作性夜間呼吸困難、湿性ラ音、ピンク色泡沫状喀痰も伴う。右心不全では頸静脈怒張・肝腫大・下腿浮腫が前面に出る。
  • 姿勢は「なぜその形をとるか」で整理する。起坐位=呼吸を楽にする/エビ姿勢・胸膝位=痛みを逃がす/後弓反張=筋の強直で本人の意思ではない。
  • 髄膜炎で丸くなって見えるのは股関節・膝関節の屈曲によるもので、体幹(頸部)の前屈ではない。項部硬直のため頸部は前屈させられず、頭部はむしろ後方へ反る。前かがみ(胸膝位)は急性膵炎など腹腔内の激痛でとる姿勢。
  • 施術中の訴えには、臥位施術を中止し起坐位で安静を保ち、バイタルを確認しながら受診・救急要請につなげる。
比較表
姿勢代表的な疾患・病態その姿勢になる理由
起坐位(起坐呼吸)重症うっ血性心不全、気管支喘息発作静脈還流が減り横隔膜が下降して呼吸が楽になる
仰臥位安静時の一般的な体位心不全では肺うっ血が悪化するため避けられる
エビ姿勢(側臥位で股関節・膝関節を屈曲、頸部はやや後屈)髄膜炎下肢を屈曲して髄膜・神経根の伸展を避ける(頸部の前屈は項部硬直のため抵抗と疼痛を生じ、とれない)
前かがみ(胸膝位)急性膵炎など腹腔内の激痛前かがみになると上腹部痛が和らぐ
後弓反張破傷風、重症髄膜炎伸筋の持続収縮による強直(自ら選ぶ体位ではない)
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