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理由で解く 柔道整復師

QJ33P027 一般臨床医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問27
問題
神経麻痺の写真(別冊 No. 2)を別に示す。障害されている神経はどれか。
図
選択肢
1 腋窩神経
2 尺骨神経
3 正中神経
4 橈骨神経
解答
正解4(橈骨神経)
解説

上肢の末梢神経麻痺は、麻痺によって生じる「手の形」と結び付けて覚えると鑑別できます。手関節が背屈できず手部が垂れ下がる下垂手は橈骨神経麻痺の典型像で、正答は4です。

橈骨神経は上腕後面の橈骨神経溝(螺旋溝)に沿って走り、上腕三頭筋と前腕の伸筋群を支配して、手関節・手指の伸展と母指の外転を担っています。上腕骨骨幹部レベルでこの神経が障害されると伸筋群がまとめて働かなくなり、前腕を水平に挙げたときに手部がだらりと垂れる下垂手(drop hand)となります。原因は上腕骨骨幹部骨折のほか、腕を圧迫したまま眠り込んで起こる「土曜夜麻痺」、松葉杖で腋窩を圧迫し続けることによる麻痺などです。感覚では手背の橈側、とくに第1・第2中手骨間背側(タバコ窩付近)のしびれを伴います。上肢の神経麻痺は「橈骨=下垂手」「正中=猿手」「尺骨=鷲手」と、変形の名称と結び付けて覚えるのが最短ルートです。

✗ 1. 誤り
腋窩神経
腋窩神経は三角筋と小円筋を支配し、麻痺すると肩関節の外転が困難になり、上腕近位外側(肩の外側)の感覚が鈍くなります。肩関節前方脱臼や上腕骨外科頸骨折に伴って生じますが、症状は肩に出るため、手の形が変化することはありません。
✗ 2. 誤り
尺骨神経
尺骨神経麻痺では骨間筋と第3・第4虫様筋が働かなくなり、環指と小指の中手指節関節が過伸展し、指節間関節が屈曲した鷲手(claw hand)を呈します。フローマン徴候が陽性となり、小指側の感覚が障害されます。手関節の背屈は保たれるので手部は垂れ下がらず、下垂手と区別できます。
✗ 3. 誤り
正中神経
正中神経麻痺では母指球筋が萎縮して手掌が平坦になり、母指の対立ができなくなる猿手(ape hand)となります。手根管症候群では母指から環指橈側半のしびれを伴います。ここでも手関節の背屈は保たれるため、垂れ下がる手とは所見が異なります。
✓ 4. 正しい
橈骨神経
橈骨神経麻痺の典型像は、手関節・手指を伸展できず手部が垂れ下がる下垂手です。前腕伸筋群がまとめて麻痺するため、手関節背屈・中手指節関節の伸展・母指の外転がいずれもできなくなり、手背橈側の感覚障害を伴います。上腕骨骨幹部骨折や上腕の長時間圧迫が代表的な原因なので、これらを扱った際には手関節の背屈と手背橈側の感覚を必ず確認し、異常があれば速やかに医師へつなぎます。
ポイント
  • 橈骨神経麻痺=下垂手。手関節背屈・手指MP関節伸展・母指外転が不能で、手背橈側(第1・第2中手骨間背側)の感覚が障害される。
  • 原因は上腕骨骨幹部骨折、上腕の長時間圧迫(土曜夜麻痺)、松葉杖による腋窩圧迫。腋窩レベルの高位障害では上腕三頭筋も麻痺して肘伸展も障害される。
  • 正中神経麻痺=猿手(母指対立不能・母指球萎縮)、尺骨神経麻痺=鷲手(環指・小指のMP過伸展)。手の形で三つを一発で見分ける。
  • 腋窩神経麻痺は「手」ではなく「肩」に出る(三角筋麻痺による外転障害+肩外側の感覚障害)。
  • 骨折・脱臼の初期評価では、整復や固定の前後に必ず末梢神経の運動と感覚をチェックし、記録に残す。
比較表
神経主な支配典型的な変形・所見代表的な原因
腋窩神経三角筋・小円筋肩関節外転障害、肩外側の感覚障害(手の変形なし)肩関節前方脱臼、上腕骨外科頸骨折
橈骨神経上腕三頭筋・前腕伸筋群下垂手、母指外転不能、手背橈側の感覚障害上腕骨骨幹部骨折、上腕の圧迫、松葉杖麻痺
正中神経前腕屈筋群の大部分・母指球筋猿手、母指対立不能、母指〜環指橈側半のしびれ手根管症候群、上腕骨顆上骨折、月状骨脱臼
尺骨神経骨間筋・小指球筋・第3・4虫様筋鷲手、フローマン徴候陽性、小指側の感覚障害肘部管症候群、上腕骨内側上顆骨折、ギヨン管での絞扼
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