学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ34P023
理由で解く 柔道整復師
歩行速度・握力の低下、著明なやせ、むせの出現がそろっており、AWGS2019でいう「サルコペニアの可能性(possible sarcopenia)」に該当し、フレイルが疑われる状態である。フレイルは適切な介入で改善しうる可逆的な段階なので、活動量と社会参加を保つ「散歩などの外出を促す」が適切な支援策となる。
本症例の数値を確認すると、歩行速度0.9m/秒は1.0m/秒未満、握力15kgは女性の基準18kg未満に該当し、AWGS2019でいう身体機能低下・筋力低下がともに認められる。ただしサルコペニアの確定診断にはDXAやBIAで測定した骨格筋量の低下が必須であり、本症例には筋量の測定値が示されていない。したがって現時点で言えるのは、一般の診療所・地域の現場で判定する「サルコペニアの可能性」の段階までであり、診断名として断定はできない。BMI16.5は18.5未満の低体重で、低栄養が背景にあることを示す。障害高齢者の日常生活自立度A-1は「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助があれば外出し、日中はベッドから離れて過ごす」段階であり、まだ自分で動ける力が残っていることが重要な情報である。ここで活動量を下げてしまうと、低栄養→筋量・筋力低下→活動量低下→食欲低下→さらなる低栄養というフレイルサイクルが回り、廃用症候群と閉じこもりが一気に進む。したがって支援の基本は、転倒に配慮しながら歩行と外出の機会を保ち、そこに高エネルギー・高たんぱくの栄養補給とレジスタンス運動を組み合わせることである。むせに対しては、嚥下機能の評価を受けたうえで、とろみ付けなどの食形態調整、椅子座位で顎を引いた姿勢、一口量を少なくしゆっくり食べる、食後の口腔ケアといった対応を家族と共有し、誤嚥性肺炎を予防する。運動・栄養・社会参加の3本柱をそろえることが、この時期のフレイル対策の要となる。
| 評価項目 | 本症例の所見 | 目安となる基準 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 歩行速度 | 0.9 m/秒 | 1.0 m/秒未満で身体機能低下(AWGS2019) | 該当 |
| 握力 | 左右とも15 kg | 女性18 kg未満で筋力低下(AWGS2019) | 該当 |
| 骨格筋量 | 記載なし(未測定) | DXA・BIAで低下を確認して初めてサルコペニアと確定できる | 未評価→「サルコペニアの可能性」まで |
| BMI | 16.5 | 18.5未満は低体重 | 低栄養が疑われる |
| 摂食嚥下 | 食事中のむせ | むせ・咳・湿性嗄声は嚥下障害のサイン | 嚥下機能低下の疑い |
| 日常生活自立度 | A-1 | 屋内はおおむね自立、介助により外出 | 準寝たきり(歩行能力は残存) |
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