学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §1 リハビリテーションの概念と歴史 / QJ34P013

理由で解く 柔道整復師

QJ34P013 リハビリテーション医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問13
問題
自立生活運動(IL 運動)はどれか。
選択肢
1 職業訓練を通じて障害者に社会復帰を促す。
2 障害者の日常生活を健常者の規範にできるだけ近づけ、社会生活を共に送る。
3 障害者が自ら意思決定をする主体的な生活を送り、他者からの干渉を排除する。
4 医学的、職業的、教育的、社会的の4つの側面全てを含んだリハビリテーションを行う。
解答
正解3(障害者が自ら意思決定をする主体的な生活を送り、他者からの干渉を排除する。)
解説

自立生活運動(IL運動)は「身の回りのことを自分でできること」ではなく「自分のことを自分で決めること」を自立と呼び直した当事者運動です。したがって、自ら意思決定をする主体的な生活を掲げた3が該当します。

1960年代の米国で、重度障害のある大学生たちが「保護される対象」から「自分の生活を選び決める主体」へ、という主張を掲げて始まりました。それまでの自立観は日常生活動作(ADL)をどれだけ自力でこなせるかで測られ、重度障害者は一生自立できない存在とされていました。IL運動はこの物差しを取り替え、介助を受けていても介助者を自分で選び、自分の意思で生活を組み立てられるならそれは立派な自立だと位置づけたのです。この考え方は自立生活センターの設立やピアカウンセリングにつながり、現在のリハビリテーションが重んじる当事者主体・意思決定支援の土台になりました。選択肢には似た理念が並びますが、「誰が決めるのか」に注目すると切り分けられます。

✓ 3. 正しい
障害者が自ら意思決定をする主体的な生活を送り、他者からの干渉を排除する。
IL運動の核心そのものです。ここでいう「他者からの干渉を排除する」とは支援を拒むという意味ではなく、専門職や家族が本人に代わって生き方を決めてしまう構造を退けるという意味で、自己決定権の尊重を指します。援助は受けるが、その使い方は本人が決める——これがIL運動の自立です。
✗ 1. 該当しない
職業訓練を通じて障害者に社会復帰を促す。
これは職業リハビリテーションの説明です。就労は自立生活を支える大切な要素ですが、IL運動は就労の有無で自立を測りません。働いていなくても自分で決めて暮らしていれば自立である、という立場です。
✗ 2. 該当しない
障害者の日常生活を健常者の規範にできるだけ近づけ、社会生活を共に送る。
ノーマライゼーションの説明です。バンク-ミケルセンが唱えニィリエが定式化した、障害があっても地域で当たり前の生活を送れるよう社会の側を整える理念で、IL運動と方向は重なりますが、主語が「生活の様式」であって「本人の決定権」ではない点が違います。
✗ 4. 該当しない
医学的、職業的、教育的、社会的の4つの側面全てを含んだリハビリテーションを行う。
リハビリテーションを4つの領域から総合的に行うという、いわゆる総合リハビリテーション(全人間的復権)の説明です。支援の「範囲」を述べたものであり、当事者が決定権を握るというIL運動の主張とは別の話です。
ポイント
  • IL運動=1960年代の米国で重度障害の当事者が始めた運動。自立の定義をADL自立から自己決定へ転換した。
  • 介助を受けていても、選び決めるのが本人なら自立。介助者を自分で選び指示できることが要。
  • 成果として自立生活センター、ピアカウンセリング、当事者主体の支援が広がった。
  • 紛らわしい語の住み分け:ノーマライゼーション=社会の側を普通に、職業リハ=就労、4領域=総合リハ。
  • 臨床での応用は「本人に代わって決めない」。方針は本人と一緒に決め、選べる形で情報を渡す。
比較表
理念・概念中心にある考えキーワード
自立生活運動(IL運動)本人が自分で選び決めることこそ自立自己決定、当事者主体、自立生活センター
ノーマライゼーション障害があっても地域で当たり前の生活を送れるよう社会を整えるバンク-ミケルセン、ニィリエ、脱施設化
職業リハビリテーション評価・訓練・職業紹介で就労と職業的自立を支える職業訓練、ジョブコーチ、就労支援
総合リハビリテーション(4領域)医学・職業・教育・社会の各面から全人間的復権を図る医学的/職業的/教育的/社会的
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