学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ34A126

理由で解く 柔道整復師

QJ34A126 病理学概論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問126
問題
後天性免疫不全症候群(AIDS)で正しいのはどれか。
選択肢
1 細菌感染が原因となる。
2 液性免疫系が障害される。
3 ヘルパー(CD4+)T細胞が選択的に傷害される。
4 感染直後に抗体が陽性になる。
解答
正解3(ヘルパー(CD4+)T細胞が選択的に傷害される。)
解説

HIVはCD4分子を足がかりにヘルパーT細胞へ侵入し、この細胞を選択的に破壊します。正しいのは3です。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はRNAを遺伝子に持つレトロウイルスで、細胞表面のCD4分子とケモカイン受容体を介してCD4陽性Tリンパ球(ヘルパーT細胞)やマクロファージに感染します。ウイルスが増殖するとともにCD4陽性T細胞は年単位で減り続け、免疫の司令塔を失った体では細胞性免疫がまず破綻します。その結果、健康な人では問題にならない微生物による日和見感染(ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染症、非結核性抗酸菌症)や、カポジ肉腫・悪性リンパ腫などが出現し、こうした指標疾患が現れた段階をAIDS(後天性免疫不全症候群)と呼びます。感染から抗体が検出できるようになるまでには数週間の空白期間(ウィンドウ期)があり、この間は抗体検査が陰性でも感染を否定できません。心配な曝露があった場合は、期間をおいての再検査や、抗原・核酸を調べる検査について医療機関に相談することが勧められます。

✓ 3. 正しい
ヘルパー(CD4+)T細胞が選択的に傷害される。
HIVはCD4分子を受容体として利用するため、CD4を発現するヘルパーT細胞とマクロファージに選択的に感染し、これを破壊します。CD4陽性T細胞数は病期の指標として用いられます。
✗ 1. 誤り
細菌感染が原因となる。
原因はHIVというウイルスです。細菌感染は、免疫が低下した結果として起こる日和見感染であり、原因ではなく結果にあたります。
✗ 2. 誤り
液性免疫系が障害される。
主として障害されるのは細胞性免疫です。ヘルパーT細胞はB細胞の助けもするため液性免疫にも影響は及びますが、日和見感染や悪性腫瘍が現れる中心的な理由は細胞性免疫の破綻です。
✗ 4. 誤り
感染直後に抗体が陽性になる。
抗体が検出できるまでには数週間のウィンドウ期があり、感染直後の抗体検査は陰性となり得ます。時期をおいた再検査や抗原・核酸検査による確認が必要です。
ポイント
  • 原因はHIV(レトロウイルス)。CD4分子を受容体としてヘルパーT細胞・マクロファージに感染する
  • 障害の中心は細胞性免疫。日和見感染と悪性腫瘍が出現する
  • 指標疾患:ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染症、カポジ肉腫、悪性リンパ腫
  • ウィンドウ期があるため、感染直後の抗体検査陰性は感染の否定にならない
  • 感染経路は性的接触・血液・母子(垂直)感染。日常生活の接触では感染しない
比較表
時期免疫の状態特徴
急性期(感染後数週)CD4が一時的に低下発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹など。抗体はまだ陰性のことがある(ウィンドウ期)
無症候期(数年〜10年程度)CD4が徐々に減少自覚症状に乏しいがウイルスは増殖を続ける
AIDS発症期CD4が高度に低下日和見感染や悪性腫瘍などの指標疾患が出現する
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