学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ34A121
理由で解く 柔道整復師
ギプス固定は静脈の還流を妨げる方向に働くため、生じるのは充血ではなくうっ血です。したがって充血の原因とならないのは4です。
充血は細動脈が拡張して流入する動脈血が増えた状態で、酸素を豊富に含む血液が集まるため、その部位は鮮やかな赤色になり、温かくなります。炎症の初期(発赤・熱感)、温熱刺激、運動、精神的興奮、アルコールによる血管拡張などがきっかけです。これに対しうっ血は、静脈の流出が妨げられて静脈血が滞った状態で、脱酸素化ヘモグロビンが増えるため暗赤色・チアノーゼとなり、冷たく、浮腫を伴います。ギプスや包帯の圧迫、深部静脈血栓、右心不全、腫瘍による圧迫が代表的な原因です。
臨床上とくに重要なのは、ギプス・包帯による圧迫はうっ血で止まるとは限らないという点です。圧迫が強まると静脈還流障害にとどまらず区画(コンパートメント)内圧が上昇し、ついには動脈血流まで損なわれてコンパートメント症候群となり、筋・神経の阻血が数時間続けば阻血性拘縮(Volkmann拘縮)という不可逆的な後遺症に至ります。上腕骨顆上骨折後の前腕や下腿の固定はとくに要注意です。確認すべきは5P——疼痛(pain、とくに他動伸展で増強する激痛)・蒼白(pallor)・脈拍消失(pulselessness)・知覚異常(paresthesia)・運動麻痺(paralysis)——で、しびれ、腫脹、色調変化、爪床の毛細血管再充満の遅れも同じ危険信号です。これらが1つでも認められれば、様子を見ずに直ちにギプスを割り入れる・包帯を緩めるなどして除圧し、ただちに医師へ連絡します。「しばらく観察してから」という判断は、取り返しのつかない拘縮を招きます。
| 項目 | 充血 | うっ血 |
|---|---|---|
| 血管の変化 | 細動脈が拡張し動脈血の流入が増える | 静脈の還流が妨げられ静脈血が滞る |
| 色 | 鮮紅色 | 暗赤色・チアノーゼ |
| 温度 | 温かい | 冷たい |
| 主な原因 | 炎症、温熱、運動、アルコール、精神的興奮 | ギプス・包帯の圧迫、静脈血栓、心不全、腫瘍の圧迫 |
| その後の経過 | 一過性で回復することが多い | 浮腫・出血・褐色硬化、進行すれば壊死 |
| 圧迫が強い場合(固定時) | — | 静脈還流障害にとどまらず動脈血流も阻害 → コンパートメント症候群 → 阻血性拘縮(Volkmann拘縮)。5Pが1つでもあれば直ちに除圧し医師へ連絡 |
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