学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 運動学 ▸ §6 歩行 / QJ34A115
理由で解く 柔道整復師
踵打ち歩行(踵を床に打ちつけるように接地する歩行)は、脊髄後索の障害で深部感覚が失われたときに現れる。足の位置が感覚でわからないため、足を高く上げて投げ出すように振り出し、踵から叩きつけて接地する。
運動失調は障害部位によって、小脳性(小脳および小脳路)、前庭性(前庭・前庭神経)、脊髄性=感覚性(脊髄後索や深部感覚の伝導路)の三つに分けられる。脊髄性運動失調では、位置覚・振動覚といった深部感覚の情報が中枢へ届かないため、体は視覚で足の位置を補おうとする。その結果、足元を見つめながら歩く、両足を開いて支持基底面を広げる、踵から強く接地して床からの衝撃で位置を確かめる、といった歩き方になる。視覚に頼っているので、閉眼したり暗所に入ったりすると動揺が著しく強まる(Romberg徴候陽性)のが決定的な特徴で、位置覚・振動覚の低下や腱反射の低下も伴う。代表疾患は脊髄癆、ビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症、後索を圧迫する頸椎症性脊髄症など、後索を侵す病変である。なお、足先が垂れて爪先から接地する鶏歩(下垂足)は末梢神経障害によるもので、踵から接地する踵打ち歩行とは接地部位が正反対なので混同しないようにしたい。歩行の型を問われたら「どこが障害されて、その結果どんな情報や制御が欠けるのか」までたどると確実に選べる。実際の対応としては、転倒予防のために足元の照度を確保し、段差をなくし、必要に応じて杖など触覚的な手がかりを増やすことが有効である。
| 病態 | 歩行の型と特徴 | 閉眼での増悪 | その他の所見 |
|---|---|---|---|
| 脊髄性(感覚性)運動失調 | 踵打ち歩行。足を高く上げ踵から打ちつける、足元を注視、開脚 | 著明に悪化(Romberg徴候陽性) | 位置覚・振動覚の低下、腱反射低下 |
| 小脳性運動失調(両側性) | 酩酊様(よろめき)歩行。開脚、体幹動揺、進路が定まらない | 増強は軽度(Romberg徴候陰性) | 測定障害、企図振戦、断綴性言語、眼振 |
| パーキンソン症候群 | 小刻み歩行。前傾前屈、腕振り減少、すくみ足、突進現象 | — | 静止時振戦、筋強剛、無動 |
| 痙直型脳性麻痺 | はさみ足歩行。股関節内転・内旋で両下肢が交差、尖足で爪先接地 | — | 腱反射亢進、クローヌス、内転筋の緊張 |
| 腓骨神経麻痺など(参考) | 鶏歩。下垂足で膝を高く上げ、爪先から接地 | — | 前脛骨筋の筋力低下、下腿外側〜足背の感覚障害 |
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