学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §5 呼吸器系 / QJ34A063

理由で解く 柔道整復師

QJ34A063 解剖学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問63
問題
呼吸器系で正しいのはどれか。
選択肢
1 気管は食道の後方に位置する。
2 右主気管支は左主気管支よりも太い。
3 肺尖は横隔膜に接する。
4 肺の栄養血管は肺動脈である。
解答
正解2(右主気管支は左主気管支よりも太い。)
解説

右主気管支は左主気管支より太く、短く、垂直に近い。したがって正解は2で、誤嚥した異物が右肺へ入りやすいのもこの形の差による。

気管は胸骨角の高さ(第4〜5胸椎付近)で左右の主気管支に分岐する。心臓は正中よりやや左に寄っているため、左主気管支は心臓を避けるように長く、水平に近い角度で走り、内腔も細い。一方の右主気管支は上葉・中葉・下葉の3葉分の空気を通すため太く、走行は短くて気管の延長線に近い。この左右差は、仰臥位での誤嚥性肺炎が右下葉に生じやすいこと、気管チューブを深く挿入しすぎると右主気管支へ迷入して左肺が換気されなくなることの解剖学的な根拠でもある。施術の場面で誤嚥が疑われるときは、むせ込み・呼吸苦・チアノーゼ・声の変化など外観で捉えられる所見を確認し、速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 2. 正しい
右主気管支は左主気管支よりも太い。
右主気管支は左より太く、長さは短く、気管の正中線となす角度も小さい(=垂直に近い)。右肺は3葉、左肺は心臓の分だけ容積が小さく2葉であることと対応しており、太さの差は換気する肺の大きさの差そのものである。「右は太い・短い・立っている」の3点セットで覚え、異物や吐物は右へ落ちやすいと結び付ける。
✗ 1. 誤り
気管は食道の後方に位置する。
前後関係が逆で、気管は食道の前方にある。頸部では体表側から順に甲状腺・気管・食道・椎体が並ぶ。気管の後壁(膜性壁)だけ軟骨を欠き平滑筋と結合組織でできているのは、すぐ後ろを通る食道が食塊で膨らむのを妨げないためで、この構造自体が「気管が前、食道が後ろ」を示している。
✗ 3. 誤り
肺尖は横隔膜に接する。
横隔膜に接するのは肺底(横隔面)である。肺尖は反対の上端で、胸郭上口を越えて鎖骨内側1/3の上方約2〜3cmまで頸部へ突出する。したがって鎖骨上窩は肺尖が浅く位置するため、この領域への圧迫や深部への徒手操作は避ける。外傷後にこの部位の痛みや呼吸苦がある場合は気胸を念頭に置き、速やかに医療機関へつなぐ。
✗ 4. 誤り
肺の栄養血管は肺動脈である。
肺動脈は肺胞でガス交換を行うための機能血管である。肺自身の組織(気管支壁・血管壁・胸膜など)を養う栄養血管は、胸大動脈から分かれる気管支動脈で、こちらには動脈血が流れる。機能血管と栄養血管を併せもつ臓器としては肝臓(機能血管=門脈、栄養血管=固有肝動脈)があり、対にして覚えると混同しにくい。
ポイント
  • 右主気管支=太い・短い・垂直に近い。異物や誤嚥物は右へ入りやすい。
  • 左主気管支=細い・長い・水平に近い。心臓を避けて走るため。右肺3葉・左肺2葉と対応。
  • 気管は食道の前方。後壁は膜性壁で軟骨を欠き、食道の通過を妨げない。
  • 肺尖は鎖骨上方2〜3cmまで突出し、肺底が横隔膜に接する。鎖骨上窩への圧迫・深部への徒手操作は避ける。
  • 肺の機能血管=肺動脈・肺静脈、栄養血管=気管支動脈(胸大動脈の枝)。
比較表
右主気管支左主気管支
太さ太い細い
長さ短い長い
正中線となす角小さい(垂直に近い)大きい(水平に近い)
換気する肺右肺(上葉・中葉・下葉の3葉)左肺(上葉・下葉の2葉)
形が決まる理由大きい右肺へ最短で入る心臓を避けて回り込む
臨床誤嚥物・異物が入りやすい相対的に入りにくい
機能血管栄養血管
肺動脈・肺静脈(ガス交換)気管支動脈(胸大動脈の枝)
肝臓門脈(吸収した物質の処理)固有肝動脈
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